子どもとシングルママの「今」を迅速に支援|特定非営利活動法人リトルワンズ

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第31回目は日本国内のすべての母子家庭と子どもたちに、機会と支援を提供する特定非営利活動法人リトルワンズの広報部春菜はなさんにお話を聞きました。

NPO法人リトルワンズの活動内容を教えてください。

リトルワンズは、シングルママとお子さんの暮らしに関わる活動を行っている、シングルママとお子さんのそばにいる団体です。「家の外にいる小さなミカタ」をコンセプトに、月に一度、イベントを開催して親子で楽しく過ごして、友だちづくりや情報交換をできる機会を提供したり、運営している情報サイト「ココミナ」では、「仕事」「住居」「保険」に関わる情報提供と申し込み、悩み相談、児童扶養手当の申請時期や支給額シミュレーションができます。その他にも、衣替えの時期や緊急時には、服や食事の無料プレゼントをしたり、親子カフェの運営などもしたりしています。

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ママや子どもたちへのプレゼント

なぜ、このような活動をされようと思ったのか、きっかけを教えてください。

代表の小山は、構成作家として働く中で、番組作りの取材を通して、シングルママの現状を知りました。当時は、子どもの貧困やシングルママについての情報や支援は少なく、社会の認知も低かった時代でした。代表はアメリカでDV被害者の支援活動をしており、海外のNPO活動、ひとり親支援について詳しく、海外に比べると、日本の状況は大きな差があると感じたそうです。

すぐに現場に出かけて、多くのシングルママにお話を聞いたところ、ここでも「大きな差」に気づきました。ママたちは「今」支援が必要なのですが、支援者側である行政には順番待ちや申請の時期があります。なにより、たくさんの書類が必要で、行政の窓口に自分で行かないと支援が始まりませんでした。行政側も、少ない予算と人員で頑張っていて、とても悩んでいました。また、企業は支援をしたくても、何をしたらよいか分からない状態でした。

そこで、シングルママ、行政、企業を上手くつなげ、お互いの「今」に必要なことを提供したら、もっとよい支援が生まれるのではと考え、2008年に活動を開始しました。2010年にNPO法人化し、現在に至ります。男性で、母子家庭支援の団体を立ち上げるのは極めて珍しいかもしれません。

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代表の小山さん

シングルママたちが抱える悩みはどのようなことがありますか。

厚生労働省の「全国母子世帯等調査」によると、母子家庭の平均年収は全世帯の平均所得の37.8%しかありません。暮らし向きは、「大変苦しい」(52.8%)と「やや苦しい」(27%)を合わせて、8割近い母子家庭世帯は「生活が苦しい」と答えています。

私たちは、お母さんには、就業、情報、居住支援、心理ケアの提供を行うことで、親の貧困が防げれば、子どもを貧困から解放でき、安心して暮らすことができると考えています。現在、会員は1,600人ほど。30代半ばの方が多く、シングルママが9割を占め、シングルパパは1割程度と少ないのですが、交流会やイベントに参加されることもあります。

「小さな一歩応援プロジェクト」とはどのようなものでしょうか。

小学生、中学生の初めての部活、地域活動を応援するために、返済の必要のない奨学金をお渡しするのが「小さな一歩応援プロジェクト」です。ユニフォーム、遠征費、発表会の参加費、月謝など、部活や習い事を続けるためには、かなりのお金が必要です。せっかく始めたのに、経済的な問題で部活を辞めてしまう子どもたちもたくさんいます。プロを目指す子どもには奨学金があったり、高校生になると特待生制度がありますが、小中学生にはありません。行政からは塾の費用は補助がでますが、部活や習い事にはありません。そこで、全国初となる本プロジェクトを開始しました。

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小中学生の初めての部活、地域活動を応援するプロジェクト

部活や習い事に補助が出ると子どもたちは色々な経験ができそうですね。

部活や習い事は、学習よりも優先度が低いように思われがちですが、アメリカなどでの研究によると、子どもの時の部活や習い事の経験は、成長してからの大きな資産になります。身体作りだけではなく、コミュニケーション、セルフコントロール、他人との協調など、大人になってからも大切なことを、子どもたちは部活からたくさん学んでいくのです。

経済的な理由で子供自体に必要な体験ができなくなることを「体験の格差」と呼んでいます。この体験の格差は、成長してからの自尊心や社会性にも影響を及ぼしますので、私たちは、活動を通して、すこしでも多くの体験の機会を子どもたちに提供できたらと考えています。

運営されている「親子カフェほっくる」とはどのような場所ですか。

杉並区阿佐ヶ谷で運営する親子カフェ「ほっくる」は、地域のお母さんが子どもと一緒にすごしながら、食事をしたり、子育て講座を受けられる居場所です。リトルワンズはシングルママのサポートをしている団体ですが、このカフェは地域の子育て支援の場、すべてのお母さんの居場所として開かれています。専門家による相談会や音楽の生演奏を聴いたりと、赤ちゃんを持つママ同士のお友達もできるので大変にぎわっています。

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カフェの様子

ほっくるは、今年で5年目となり、「地域で居場所を作るにはどうしたら良いのですか?」と質問を多く受けるようになりました。そこで、「親子カフェのつくりかた: 成功する「居場所」づくり8つのコツ」(学芸出版)という本を作りました。

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代表小山さん著「親子カフェのつくりかた: 成功する「居場所」づくり8つのコツ」

活動をする際に大切にしていることや想いはありますか。

お母さん方に対してフェアな団体であることを心がけています。上から支援をするという立場ではなく、互いにできることをしながら一緒に作っていく間柄です。また、スピードも大事にしています。子どもはすぐに大きくなるので、大人の都合でのんびりとしていたら、間に合いません。すぐにプロジェクトを推進できるように、少しでも早く助けを届けられるように、柔軟性とスピード感を持って動いています。

私たちは、全員社会人で、それぞれが本業を持っています。学生が少なく、大人が多いのも、リトルワンズの特徴だと思います。「違う環境や能力の大人が集い、できること、やりたいことを真剣にやってみる」「プロジェクト単位で動き、達成できたら解散」こういう団体の形は、日本では珍しいと思います。

今後の展望やご活動について、教えてください。

国、地方自治体、企業とコラボレーションしながら、日本のシングルママと子どもたちの「今」を支え、共に作っていく。この姿勢は、ずっと変わらないと思います。大人ができることを、ちょっとずつ集めれば、きっと大きなことができると信じています。技術と人脈を活かして関わるデザイナーさん、仲間と一緒に服を集めて、寄付を送ってくださったモデルさんたち、一定額を寄付すると決めている投資家さん。「子どもは日本の未来!」と支援を企業社長に呼びかけてくれる人生の大先輩たち、毎月シングルママに無料マッサージをしてくださるセラピストさんたち。関わってくださる方は、みんな「自分が出できること」をしてくださっています。自分ができることが、一番気楽で、なにより確実です。だからこそ、次回も関わりたくなっていきます。こうした循環が、日本中に広がっていけばと願っています。少しでも、シングルママと子どもたちの力になれるのなら、本当にありがたいと思っています。

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クリスマスイベント

take action-いま私たちにできること-

住居、仕事、子どものこと、色々と考えるべきことが押し寄せる中、必要な情報や支援を受けることができ、困りごとを相談できるシングルママのための場所があるのはとても心強いですね。子どもたちの体験の格差を埋めるための支援も社会全体で取り組めるとよいと感じました。

代表小山さんの親子カフェの作り方の本を拝読しましたが、親子カフェはただのカフェにあらず。これまでたくさんのママたちの声を間近で聞いてきたからこそ、ママたちの求めているものを形にできているのだと感じました。興味のある方は是非ご一読下さい!シングルママ、働くママ、子育て中のすべてのママが、安心でき、よい仲間と出会い、チャレンジをしていける拠点を増やしていけたらいいですね。

特定非営利活動法人リトルワンズ
ホームページ: http://www.npolittleones.com/
Facebook: https://www.facebook.com/littleonesorg/
Twitter: https://twitter.com/npolittleones

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林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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