明るく性や命について話そう|とにかく明るい性教育 パンツの教室協会

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第32回目は、とにかく明るい性教育 パンツの教室協会代表ののじまなみさんにお話を聞きました。

パンツの教室協会の活動内容を教えてください。

「性」は、身近にあるけれど、誰もが触れたがらない。でも、それは子どもの人生を左右する、とても大きな問題です。今の時代、スマホなどを使えば、正しいかどうか判別がつかないほどのたくさんの情報に簡単にアクセスできます。半面、学校でも家でも性教育は進んでいません。『内に閉じこもりがちな性教育をもっと、明るく、開放的に子どもたちと向きあえるようになってほしい。』『子どもたちに、将来大切な相手ができたときお互いを尊重しあえるパートナーシップが築けるようになってほしい』そんな思いから、とにかく明るい性教育【パンツの教室協会】を設立しました。

現在、子どもたちに性教育をすることの大切さを伝える1day講座にはこれまで約1,600人を動員。参加者からの要望で誕生した3ヶ月間のパンツの教室アカデミー、インストラクター講座の開催や幼稚園や行政などでの講演などを行っています。インストラクター登録は80名まで増え、2018年4月からはインストラクターが展開しています。無料メールマガジンには約6,200人が登録してくださっています。

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なぜ、このような活動をされようと思ったのか、きっかけを教えてください。

私の娘が4年生の時、「私たちが生きてることは恥ずかしいことなの?」と聞かれたことがありました。性の授業を受けたときに、誰もきちんと教えてくれないこと、そんなこと知らなくていいと言われたひとこと。いろんな思いが重なり、話してくれた娘の顔はものすごく悲しそうで、これではいけないと感じました。

インターネットや動画サイトなど、過激な情報に簡単にアクセスできることを知る子どもたちも多くいる中、卑猥な情報としてではなく、命のスタートは恥ずかしいものではないことをまずは伝えていかなければと強く感じ、性教育をスタートさせました。

現行の教育指導要領では、小学校でSEXという言葉を使うことはできません。この言葉が記載されているものを教材として使用した場合は、退職処分になるといわれています。そのように学校で教えることができない、でも、現実味を帯びない間違った情報や過激な情報ばかりがインプットされる状況を変えていきたいという思いもあります。

「性」の話題は、話すのにもとても勇気がいることだと思います。子どもには、いつ頃、どのような形で性に関する話(性教育)をはじめるのがよいでしょうか。

「性に関する話題をするのは勇気がいる」と思わされているのが今の私たち親世代が受けた教育なんです。実際は尊いものであるのに、なぜこれが恥ずかしいと思わされている。

私は、性教育にオープンな父のもとで育ち、また泌尿器科で勤務する看護師でもあるという経験から、性について、タブー視せず、楽しく教えることが大切だと考えています。

性について話すのは、3歳から10歳までが適齢としており、それ以後は親の話を聞かなくなってくることもあり、自立を始める10歳くらいまでの間に伝えてあげることがベストだと考えています。子どもたちには、例えば動物、生き物を通じて、年代に合わせた話し方でお伝えしています。

「パンツの教室」では、どのようなことが行われるのでしょうか。

子どもと性について話したいけど、どうやって話せばいいかわからない......そんなお母さんたちに、男の子や女の子の体と仕組み、性犯罪の防ぎ方、命ってなんだろうということなどを伝えています。命の素晴らしさを教えてもらった子は自分の命を粗末に扱わない。愛されてると終えてもらった子は他人を大切にできる子に育つ。性教育は子どもの未来を守るもの。この信念で講座をしています

また、お母さんの『性』=『恥ずかしい』というイメージが変われば、命を生み出すものとして、自分を大切な物のとして、相手をいたわる事として、また、妊娠、中絶、犯罪など悲しい思いや危険な目にあう機会がグンと減らせます。

講座の中で一番盛り上がるのは「性教育カード」です。カードにはカブトムシやゾウなど生き物のイラストが描かれているんです。それぞれ、オスとメスがあり、さらに交尾というカードがあり、その3種を集めると高得点になります。

最初は恥ずかしいかもしれませんが、こういった遊びを通じて、子どもたちに性教育をするきっかけになればと思います。タブー視されているからこそ、お母さんたちの恥ずかしさを解くために、とにかく楽しくお伝えすることを心がけています。

パンツの教室に参加したお母さんたちからは、「恥ずかしいと思っていた性の話を抵抗なく話せる自分がいることにビックリ」「前よりも親子の絆は確実に深まった」「子どものためと思って受けた講座だったけど、私自身が価値ある人間。愛されていたと気付くことができた。」などの声もいただいています。

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また、パンツの教室の後に、実際にお子さんに色々なお話をしたお母さんからは、こんなエピソードも教えてもらいました。

・勇気を出して5歳の息子に生理について話したら、血液が出ることを知って「ママの生理の時はこれ使ってね」と可愛い絆創膏を持ってきてくれた。
・いつまでもお風呂上りに下着をはかないお父さんに『水着ゾーンは隠してね』と4歳の娘が注意していた
・知らない人に声をかけられて、『ついておいで』と言われた6歳の息子がきちんと断って逃げてきた

こういった形で、お母さんの言葉で性について話をすることで、子どもたちにもしっかりと伝わっていく、伝えていくことができるんです。

今ではインターネットなどで簡単に性についての情報が手に入るのですが、実際に息子や娘がそのようなものを見ていたら、どんな話をするのがよいでしょうか。

状況などにもよるかもしれませんが、見た行為に対して「ダメ」「まだ早い」という言葉で言わないこと。情報があふれている中、制限をかけられると、子どもはよりのめり込んでしまいます。例えば、アニメ動画を観ていたとしても、4ステップくらいで、過激な動画にたどり着いてしまうのが現実です。否定をしたり、はぐらかさずに、スマホの使い方、正しい知識などを、伝えてあげてください。

子どもたちは、インターネットが生まれながらにある世代で、今のままだと、命のスタートであるセックスや命そのものが卑猥なものとして3歳位の子どもにも情報が入ってきてしまいます。だからこそ、きちんと親の口から、性は 命、愛、身を守るものだととして、きちんと伝えていってほしいと考えています。

子どもが自分で身を守るための話をするときにわかりやすい基準だという「水着ゾーン」とはなんでしょうか。

水着を着る範囲は安易に人に触らせてはいけないことをわかりやすく伝えるため、「水着ゾーン」と呼んでいます。

男の子 股間 ペニス お尻
女の子 胸 子宮 クリトリス お尻

子どもにこの水着ゾーンを意識してもらうことで、水着を着て隠れるところは誰かに簡単には触らせてはいけないこと、そこを見たり、触りたいという人がいたら、何かがおかしいと感じることができ、逃げる、大人に伝えるなどの行動がとれるようになります。こういった自分を守るための基準を持つことで、性犯罪の防止につながります。

今後の展望やご活動について、教えてください。

「大切な『命』について語り合える親子を日本中に増やすこと」

これにつきます。親子でSEXについて語り合うことができる。これは命を紡ぎ、愛されて生まれてきた子どもであること、身を守ることもそうですが、子どもが「愛の結晶」であることを正確な情報とともに伝えることとなると考えています。

性の話は教育の現場でも家庭でもタブー視されていることが多いと思いますが、それは日本の今までの慣習もあり、親世代が「恥ずかしいこと」と思っているからです。そんなお母さんたちの概念や考えを解き放ち、子どもたちと性の話ができ、命の大切さを伝えられるよう、これからも活動を行っていきたいと思います。

take action-いま私たちにできること-

性の話はタブーという価値観が根強く残る私たち親世代。でも、大切な子どもたちが性犯罪に巻き込まれないように、誰かを悲しませないように、子育ての中で性についても語り、相談できる環境を整えることも私たちの責任のひとつなんですね。まずはお母さんの意識改革から。パンツの教室に行ってみたら、何かが変わるかもしれません!

とにかく明るい性教育 パンツの教室協会
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林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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