読書は人生を豊かにする『みちのきち 私の一冊』

みなさん、こんにちは。フォトグラファーの宇野真由子です。
梅雨入りして雨の日も増えてきましたね。
雨の休日は出かけたくないので、家でのんびり読書をするのが好きです。
そこで今回オススメするのは、『みちのきち 私の一冊』という本です。

180611uno01.jpgみちのきち」は、本を身近に感じてほしいという想いから、國學院大學につくられた大きな本棚です。そちらのプロジェクトの1つとしてつくられたのがこの本で、109人の大人達が自分の大切な一冊を紹介しています。
池上彰、長谷川穂積、戸田恵梨香、森英恵、小池百合子、茂木健一郎などの著名人から、企業の社長や医者、学者まで、幅広い面々が登場しています。

この本のオススメポイントはいくつかあります。まず装丁が美しいんです!
側面も光沢のある赤ですし、白い乳白色のカバーを外すと、発色も手触りも良い布張りになっています。真ん中の白いくぼみは名刺サイズ。名刺で「これが私です」と紹介するのと同様に、「これが私の一冊です」と紹介してもらうという意味でデザインされています。

そしてこれだけ多種多様な人が紹介する本を見られるのがうれしいところ。自分で本を選ぶとどうしても偏りがちになるので、こんな本もあるんだ!と新鮮さを感じます。好きなページから読める気軽さも◎。そして本の紹介写真もおしゃれなんです!全部違った撮られ方をしていて勉強になります(そしてこのコラムの撮り方を反省しました)。

読んでみたい本がたくさん紹介されているのですが、あえて一冊挙げるなら小島慶子さんが紹介している『世界は一冊の本』(長田 弘 著)という詩集です。
「読むべきものは書棚にあるとは限りません。目に映るものに、あなたの裸の手の中に、いつもページは開かれています。」という紹介文も素敵。おすすめの理由には、その人の「人となり」が垣間見える気がします。

「みちのきち」に込められた想い

この本には随所につくり手の方々の想いを感じます。
特にタイトルでもある「みちのきち」という5文字には、学生や次世代を担う人たちへ向けてこんなメッセージが込められているそうです。

「未知」を「認知」に変えてほしい。
「道(人生)」の迷いに向き合う「基地」を見つけてほしい。
いつまでも好奇心を持ち続け、幅広い知識と経験を糧に「機知」に富んだ会話のできる大人になってほしい。

これは若者に限らず、誰でもそういう基地となる本があったり、欲しかったりするものではないでしょうか。私は悩んだ時はとくに本屋へ行きます。ヒントやアドバイスのようなものを、あるいは癒しを求めて。人には聞いてもらえないことや、1人で考えたいけど行き詰まってきた、みたいな時に本が助けになるのです。

「本を読んでいる時の紙の手触り、匂いや音、感じるもの全てがその本の一部となり、記憶に刻まれていく。そしてこの積み重ねが想像力や感性に磨きをかけ、素敵な大人へと導いてくれる」という言葉があとがきにありますが、とても共感します。
本は文字を読むためだけのものではありません。今時はスマホで何でも読めてしまいますが、装丁を楽しんだり、紙質や紙をめくる感覚を味わえるのは本だけ。幼い頃に読んだ本がボロボロになって変色していても、それも思い出です。だから大事な本はデータではなく、物として持っておきたい。そう思われる方も多いのではないでしょうか。

私が本から学んできたこと

読書家というほどではないのですが、子どもの頃から本は継続的に読んできました。
どんなに忙しくても、1冊も読まないという月はありません。
童話や小説からはフィクションの世界に入り込む楽しさを、実用書からはたくさんの知識を得ました。実際には会えない人たちの考え方を知れるのはうれしいし、勉強になります。
ただ、気をつけたいのが読むだけで満足してしまうケース。「すごいな〜」で終わるのではなく、良いと思ったことは1つでも取り入れるというのを最近のマイルールにしています。「知っている」のと「やってみた」は雲泥の差! 知識ばかりを蓄えて頭でっかちになるのは避けたいです。

そして実用書だけが役に立つわけではありません。小説を読むといろいろな登場人物の心情が書かれているので、見る人によってこうも捉え方が変わるのか...と気付かされたこともあります。想像力を鍛えるという面でも読書の効果は計り知れないのではないでしょうか。

180611uno02.jpg今回の写真は梅雨を意識したものにしてみました。雨のガラス越しに見る海。
写真も「読み解くもの」だと思います。正解を探すというより「何を思って撮ったんだろう?」「どんな場所なんだろう?」と想像しながら見てもらえたら嬉しいです。

2年半に渡って、本(や映画)をご紹介してきたこちらのコラムですが一旦終了して、来月からは新コラムとしてスタートする予定ですのでお楽しみに。今回は最後なので、本という存在や、自分と本の関わり方について書いてみました。この「みちのきち」にはたくさんの本が紹介されているので、皆さんこれでしばらく読むものには困りませんよ!(笑)

宇野 真由子

Writer 宇野 真由子

1979年生まれ。北海道出身。ビジュアルアーツ大阪校写真学科卒業。
写真専門ギャラリーでの勤務を経て、沖縄に移住。撮影会社にてブライダルを中心とした人物撮影や商品撮影等に従事。2015年秋に大阪へ戻り、フリーランスとして活動開始。撮影以外にも、写真教室・ワークショップ等、写真の楽しさを広める活動も開催している。
http://unophotoworks.top/top/

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