子どもが可愛く見えるゆるコツが満載。『ママのゆるコツ事典』著者・渡辺のぞみさんインタビュー

子どもはかわいくてかけがえのないもの。
だけど、仕事に家事にとギリギリの毎日の中で、いつもにこにこ優しいお母さんでいられるわけではない。
育児って大変......と落ち込むこともありますよね。

そんなときに、気がふっとラクになるゆるコツがまるで幕の内弁当のようにつめこまれているのが『今日は、子どもが可愛く見える ママのゆるコツ事典』です。

著者は、フリーランスの編集者として、書籍の企画・編集に携わってきた渡辺のぞみさん。ご自身も5歳と1歳のお子さんを持つフリーランスマザーです。刊行にあたり、本の構想を思いついたきっかけや、思いがけず著者デビューとなったという意外なエピソード、この本に込めた思いなどをたっぷりお聞きしてきました。(聞き手:リズムーン編集長・小野梨奈)

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渡辺のぞみ
1977年、埼玉県生まれ。編集プロダクション、出版社勤務を経て、フリーランスで書籍の企画・編集に携わる。主な担当書籍に、『お仕事のコツ事典』(文響社)、『42本のローソク』(塚本やすし、冨山房インターナショナル)、『となりの漱石』(山口謠司、ディスカヴァー携書)などがある。2013年、2016年に女の子を出産。

ご著書を拝見して、現在子育て真っ最中の方はもちろん、これから母親になる女性たちにもぜひおすすめしたいなと思いました。この本の構想はどのように思いついたのでしょうか。

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前作である『明日、会社に行くのが楽しみになる お仕事のコツ事典』を編集しているときです。『お仕事のコツ事典』は、20〜30代くらいの働く女性向けの仕事のモチベーションアップのコツを満載した本なのですが、編集しながら「母親が日々、粛々とこなしていることも、地味だけれど壮大な仕事だな」とふと思ったことがきっかけでした。

実は、『お仕事のコツ事典』のご依頼を受けたのとほぼ同時に、2人目を妊娠していることがわかって。2人目だからラクチン...ということはなくて、むしろ、長女の世話をしながら、仕事もして、妊娠期を過ごすのは、想像以上に大変でした。だからこそ、「お母さんって、大変」という気持ちが強まっていたんだと思います。

『お仕事のコツ事典』が校了間近となった頃、担当編集者さんと「この本の続編を考えるなら...」といった話になったときに、「お母さんテーマで、どうですか?」と提案したところ、結果的に「ぜひやりましょう」ということで実現しました。

ページの欄外で紹介されているおすすめ本「192冊」の中にも、「この本読んでみたいな」というものがたくさんありました。

ありがとうございます。192冊の本の紹介は、ママが、子どもの向こう側にある世界を感じるきっかけになればいいと思って、企画当初から入れたいと提案しました。一見、まったく関係のなさそうなことの中にひらめくことや、ぱっと視界がひらけるような何かが潜んでいることってありますよね? 本がそのきっかけになればいいなと思って。

見開きの原稿がある程度かたまったところで、今まで読んでよかったものを思い出したり、家にある本を眺めたりしながら選んでいきました。あとは、テーマに合いそうだな!と感じたタイトルは、片っ端から図書館で借りたり、買ったりもしました。

選書の中には、『世界のトイレ』のようなユニークな写真集や、『ケチャップマン』のようなナンセンスな絵本もあります。ちょっぴり現実逃避したり、意味もなく笑えたりする瞬間って、ママにとっては、とても大事だと思うんです。小さい子を抱えていると、目の前のこと、子どもとその周辺のことしか見えなくなっているときがあります。でも、ふと空を見上げたら、「あ、広い」って感じられるかもしれない。そういう瞬間を、子育てしながらも、大事にしてもらいたいなあと思って選びました。

最初は「編集部編」というかたちで出版される予定だったとか。

そうなんです。編集作業も後半に差しかかった頃、担当編集者さんが、「きちんと名前を出したほうが、同じように大変な思いをしているお母さんたちに届くのではないか」とおっしゃってくださったんです。

構想のきっかけが、私自身の日々のためいきの蓄積でしたし、確かに、子ども2人抱えて仕事も家事もで、待ったナシのことをやっている一人の母親が著者のほうが、親しみを感じてもらえるのではないかと納得し、著者として名前を出すことに決めました。

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編集者から著者という立場になり気づいたこと、大変だったことはありますか?

自分の名前で本を出している方は世の中にたくさんいますが、本当に大変なことだと思います。「担当編集者だから気楽だ」ということは決してないのですが、名前を出すのと出さないのでは、やはり全然違います。

私という人間がどう受けとめられてしまうのかな...とか。
本当にいいのだろうか...とか。
いろいろ考えましたが、たくさんのお母さんたちにこの本を届けたかったので、腹をくくりました。
プレッシャーは倍増でしたが(苦笑)。

こだわった点はどんなところでしょうか。

「まえがき」です。はじめは入れていなかったのですが、担当編集者さん以外の方に再校ゲラを読んでいただいたときに、「この本を書いた人が、どんな立ち位置であるかを知りたい」というコメントをいただいたんです。それで急遽、本文を2ページ削り、「まえがき」を入れました。それが結果的にすごく良かったなと。この本の輪郭をしっかりとかたどってくれたように思います。

担当編集者さんとは、「お母さんである以前に、人としての尊い人生があること」を大事にしたいですよね、と話していたので、自分がすんなり母親になれたわけではないことも、素直に書きました。
幸い、子どもを授かって、無事に出産しても、フリーランスゆえの仕事の大変さ、保育園事情の厳しさ、かわいいだけではどうにもならない子どものあれこれがてんこもりで、自分はいったい何をしたかったの? どうしたいの? と考えることがよくあります。
でも、子どもがいない人生だったら...なんていうことは、今の私にはもう考えられない。毎日大変だし、どうしたらいいかよくわからないことだらけなのですが、だからこそ、「日々、ゆるコツ」で乗り切っていきたいと思っています。

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今後も育児関係の書籍の出版を考えていらっしゃるのですか。

『ママのゆるコツ事典』は、『お仕事のコツ事典』という本のフォーマットがあったからこそ立ち上がった企画で、私はそれまで、子どもができたから、子育てテーマの本を作りたい...と思ったことはありませんでした。でも、自分が思っていた以上に、子どもの存在は、自分を深く掘り下げるきっかけになっていることに、今回の仕事を通して気づきました。それはすごく新鮮な発見でもありました。

今回、期せずして担当書が著書になり、私のキャリアにおいては本当に思いがけないことだったのですが、今はすごく前向きに考えています。『ママのゆるコツ事典』が、いろんな方々のもとに届き、それがきっかけとなってまた次の仕事の展望が見えてきたらどうなるのか、私自身、これからが楽しみです。これからも、自分が興味を持った著者、テーマとの出会いがあったら、そこに「本の種」を見つけていく仕事を続けていくと思います。もし、2冊目の著書の可能性があるなら...それも挑戦してみたいなと考えています。

なるほど。今後の展開が楽しみですね!最後に、この本を、どんな人に届けたいですか?

日々待ったナシの生活にためいきしつつもなんとかしようと頑張っている、すべてのお母さんたちです。働いていても、専業主婦でも、子育てしていれば、みな同じ苦労があるはず。
でも、実生活では、なかなか本音を言い合えなかったり、本気で助け合うのが難しいときもあったりすると思うので、せめて本を通して、同じように頑張っている母親同士、支え合えたら...そう思っています。

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取材を終えて

子育ては、子どもの成長とともに、悩みも変わってきます。本では、仕事や家事のコツや子どもとの楽しい過ごし方、祖父母や夫との上手な付き合い方など子どもがいる生活で「あるある」なテーマごとにゆるコツがまとめられていて、なにかつまずいたり、落ち込んだりしたときに、何度でも読み返せるバイブルのような一冊だなと思いました。マジメな情報から、クスッと笑える小ネタまで、日々の些細なお悩みがどうにかなっていくアイディアが満載。ゆるコツを取りいれて、仕事も育児もハッピーに楽しみましょう。

オノリナ

Writer オノリナ

Webプロデューサー・リズムーン編集長
リズムーンを運営する合同会社カレイドスタイル代表。女性向けWebメディア編集、フリーランスを経て、2014年に法人を設立。国内外のネットワークを活かして最適なチームを組みながら、研究機関のサイエンスアウトリーチ支援や、企業オウンドメディアの女性向けコンテンツ企画・制作を数多く手がけている。また、独立時に苦労した自らの経験から、女性フリーランスコミュニティ「リズムーン」を2009年に立ち上げ、「個」が主役の多様な働き方を加速させる社会の実現に向けた事業・サービスを展開している。プライベートでは、3人の子を持つワーキングマザー。趣味は卓球。

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