北海道の課題に若者が挑む|NPO法人 ezorock

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第34回目は、NPO法人 ezorockの広報・東 輝さんにお話を聞きました。

ezorockの活動内容を教えてください。

ezorockは、課題先進地である"北海道"内のさまざまな地域課題に青年層が自発的に考え解決に向けた活動を作り出していく団体です。年間のべ2,000人以上ボランティアが20以上の市町村で、全道各地の地域課題に対して行動をしていますの解決に取り組んでいます。

具体的には、野外音楽イベントでのごみの分別を案内する活動や、子どもの自然体験活動の提供、国立公園の自然保護活動、山林に眠る利用されない木材から薪を生産して販売し、売り上げを子どもの森林体験活動に還元する活動など現在は8つのテーマで活動しています。

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北海道は「課題先進地」とのことですが、今までそのようなイメージはありませんでした。具体的にどのような課題があるのでしょうか。

北海道は、他の都府県と比較すると大きく状況が異なる点がいくつもあります。例えば、日本列島の上に北海道を重ねてみると、横幅は、東京から一部は四国までかかるほどの大きさです。市町村数が179あり、人口の約3分の1は、札幌近郊に集中していることから、いわゆる都市と地方の両方の課題を多く抱えている状況といえます。

また、人口の観点からも、この150年で急激に人口が増加し、この先は、他のどの地域よりも速いスピードで人口減少が進むことが予想されていて、これまで当たり前にできていたことが徐々に失われている状況です。わかりやすい例として、これまで地域の山や川などの保全活動を進めていた団体が高齢化等の影響により、保全ができなくなるケースなどが増加しており、対策が求められています。そういった解決すべき課題が、さまざまな地域にあります。

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なぜ、このような活動をされようと思ったのか、きっかけを教えてください

1999年にスタートした北海道最大規模の野外音楽フェス「RISING SUN ROCK FESTIVAL (以下、RSR)」は、当時、ごみのポイ捨てが当たり前の環境でした。翌年2000年より東京に本部のある国際青年環境NGO A SEED JAPANが環境対策活動を実施、その活動に参加したボランティアが中心となり2001年にA SEED JAPANの北海道支部としてezorockを設立しました。

2007年にはRSRの生ごみを自分たちの手で堆肥化し、その堆肥でじゃがいもを栽培してRSRの会場に戻す「RSRオーガニックファーム」の取り組みがスタートしました。環境対策をはじめ、その後、さまざまなプロジェクトチームができて今の形になります。

自分の出したごみは、自ら分別しごみ箱へ持っていったり、テントが建てられず、困っている人がいたら気軽に声をかけたり。野外ロックフェスティバルの空間は、当たり前のように「自立」と「共存」にあふれています。私たちが活動を通して作り上げたい理想的な未来がここにあります。

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ご活動のひとつ、「環境対策活動EarthCare」では、お祭りやイベントでごみの分別ナビゲートを行っているそうですが、どのようなものでしょうか。

ごみの分別ナビゲートは、イベントの時などにごみ箱の後ろにボランティアが立ち、イベント参加者が出すごみを参加者自身に分別してもらう活動です。ボランティアがごみを受け取って分別をするのではなく、参加者自身に行ってもらうことで、ごみの分別の意識を日常生活に持ち帰ってもらえるようにしています。最初は分別の内容などがわからず、ボランティアが案内をしなければならないような方でも、一つのイベントで複数回ごみ箱に来ると、案内なしでも自分自身で分別してくれるようになります。

ezorockでは、サイクルシェアも行っているんですね。

サイクルシェア「ポロクル」は認定NPO法人ポロクルと恊働で実施し、札幌市役所や札幌市資料館等の公共の場所や札幌駅西口や北口等の歩道上、ビルの敷地など、現在42ヶ所の拠点で運営しています。

札幌は美しい景観や食事、自然環境など素晴らしい要素があり観光客が多く訪れる一方で、全国的に見ても放置自転車が非常に多い街でした。その札幌で歩行者も自転車ユーザーも自動車ドライバーも心地よく道路を使用できる環境を作っていけたらと考えています。

現在、札幌の街中の観光スポットを巡る自転車ツアーを考案していて、札幌の魅力を伝えると共に、自転車のルールマナーや街中の駐輪場の場所の案内等も行う予定です。

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活動をしてうれしいことや大変なことはありますか

活動がその地域に浸透してきている時はやはりうれしいですね。活動後に、「来年も来てくれるんだよね?」などの声をかけられることもあり、地域の中で一定の成果をあげられているんだなと実感しています。

また、活動に参加するボランティアにどうして活動が必要なのか、活動をすることで社会や人がどう変わるのかを説明するようにしています。ただ活動をして終わりという流れだと、やらされているだけになってしまうので、活動をするということについて考えるきっかけを必ず作るようにしています。

今後の展望やご活動について、教えてください。

Do it Yourself (=D.I.Y.)を広めて行きたいと考えています。一見、日曜大工の用に思われますが、元々は第二次世界大戦後で壊れたイギリス・ロンドンの街を自分たちの手で復興させていこうというスローガンとして使われていたものです。

現在は、野外音楽フェスの基本的な考えとして定着していて、すべてを行政や主催者に頼るのではなく、50%は行政や主催者、残り50%は自分たちで作り上げていこうという意味が込められています。ezorockを通して社会課題に触れ、その解決を通して社会は変えられることを実感し、実生活でもすべてをサービスなどに頼るのではなく、自分でできることは自分で行うなど、50%:50%のラインを探りながら行動をしていただけるよう活動を続けていきたいと思います。

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<take action-いま私たちにできること->

どんな地域にもそれぞれの課題はあるもの。若者たちがその課題を知り、アイデアを持ち合って、実際に解決に向かって動くことができるれば、そこに確実に未来が広がっていくのだと感じました。自分の出したごみは、自ら分別しごみ箱へ持っていく、困っている人がいたら気軽に声をかける。野外音楽フェスから始まったezorockの活動が目指す「自立と共存」は、私たちが属するどの社会でも必要な取り組みですね。

林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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