フリーランスのお仕事道具拝見Vol.5 〜 グラフィックデザイナー/イラストレーター 坂口 拓さん

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■プロフィール
坂口 拓(グラフィックデザイナー/イラストレーター)

1997〜98年 縫製工場勤務
1998〜2014年 雑貨店やアパレルでの販売スタッフ、店舗運営に携わる
2014~2017年 印刷会社でデザイナーとして働く
2017年~フリーランスとして活動開始
https://www.sakaguchitaku.com

紆余曲折を経て、32歳でデザイナーに

もともと洋服が好きで「いつかデザイナーになって、自分の絵をプリントしたTシャツを作りたい」と思っていました。高校卒業後は、服飾の専門学校と提携している大阪の縫製工場に就職。そこには、働きながら週1回、学校に通えるシステムがあったんです。でも実際は、仕事が激務すぎて学校には行けなくて......。このままじゃ何にもなれないと思い、1年ちょっとで退職してしばらくアルバイト生活をしていました。

その間に「実は洋服よりも、グラフィックが好きなんだ!」と気づきまして。 Tシャツデザイナーへの道もあり得るアパレル企業に就職しました。販売員としての勤務にはなりましたが、社員がデザインを応募することもできたので、採用・商品化もされました。「やっぱりデザインがやりたい」という気持ちがますます強くなっていたのですが、管理職になり、デザインの仕事からは遠ざかる一方だったので、辞めることにしたんです。

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退職後、「次こそは絶対にデザイナーになる!」と決めて、職業訓練校で失業給付金をもらいながらデザインの基礎を学びました。それまでは独学でイラストレーターなどを触っていたので、基礎が学べたのは大きかったです。そして印刷会社にデザイナーとして就職でき、32歳にしてようやくデザイナー人生がスタート。在職中にUNKNOWN ASIAというアートフェアにイラストを出展して賞を受賞したり、個人的に仕事の依頼をいただくようになり、フリーランスでやってみることにしました。

SNSでの自己発信で道が開けていく

仕事とは関係なく、20代の頃から趣味で描いた絵をSNSに載せていました。当時はまだmixiくらいしかなかった時代。「よく描けたから見てー」くらいの気持ちでやっていたんです。

そのうちインスタが登場し、そこに大好きなシカゴのバンド、OKGOのロゴを勝手につくって載せたりもしてました。ある時、OKGOのリーダーのアカウントを見つけたので、ロゴをDMで送ってみたんですね。すると「いいね!」という反応が返ってきて単純にうれしかったんです、ワールドツアーをするほどの規模のバンドですから。それで満足していたら、その後日本ツアーをやる際にLINEスタンプ制作のお仕事依頼をいただいたんです! 当時、まだ職業訓練校に通っている時で、デザイナーでも何でもなかったんですが(笑)。それ以降、ツアーグッズなどもつくらせてもらうようになり、今でもOKGOとのお仕事は続いています。

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それと、2014年9月から「365HAPPY BIRTHDAY」という発信もやっています。毎日「世界の誰かの誕生日を祝う」という目的で始めて、4年以上欠かさずイラストやデザインをSNSにアップし続けているんです。これは仕事ではなくライフワークですが「365HBDの人」と覚えてもらえますし、仕事に繋がることもあります。何より自分の訓練になっているので、できる限り続けていきたいですね。

お仕事道具拝見

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デスクトップしか持っていないので、作業は家でしかしません。 iPadなどにしないのは、デスクトップの方がデザインやイラストの制作をする上で画面が大きく使えるからです。今のiMacは2代目で約5年使ってます。使うソフトはイラストレーター、フォトショップがメイン。ごく稀にInDesignも使っています。あと煩雑な表計算はオフィス系のソフトも使います。基本的に請求書や送り状なんかもイラレで作っています。

お金にならなくても、好きなことをやり続けるのは大事

今年の夏頃、時間を持て余していたこともあり作品集(ZINE)をつくりました。自分がこれまで作品として描いてきた視覚トリックイラストをまとめて、販売したり、営業ツールとして送ったり、いろいろな人に見ていただきました。それがきっかけで今月16日からあべのハルカス美術館で行われる「ミラクルエッシャー展」併設のミュージアムショップでイラストの展示・グッズ販売をできることになったんです!詳しい経緯はこちら(『【#02】ミラクルエッシャー展 大阪会場のミュージアムショップで展示とグッズ販売をします!!』)に書いていますが、敬愛するエッシャーの横で展示ができるなんて信じられなくて......。自分でも驚いています。

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振り返ってみると、僕の場合は好きでやっていることが結果として仕事に繋がっているパターンが多いです。時間がある時に好きなことや興味のあることをやっていただけ(笑)。だからやっぱりやりたいことはやるべきだと思うんです。「お金にならないから」とやらないクリエイターが多いけど、好きなことに対する気持ちって誰にも負けないじゃないですか。何に繋がるかわからないし、やらないともったいないです!

夢はずっと制作者でい続けること

デザイナーもイラストレーターもベテランになるとディレクターや管理者になっていきますよね。でも僕は制作者でい続けたいんです。もちろん、仕事によってはディレクションもしますけど、できるだけつくり手でいたい。根っからの職人気質なんだと思います。
なので、フリーランスで働くことにこだわりはありません。会社にいた方がつくることに集中できるでしょうし。今後どういうスタイルで働いていくかはわからないし、流動的にやっていけたらと思っています。

<取材を終えて>

坂口さんのチャンスを手繰り寄せる行動力と、好きなことをやり続けるストイックさがただただすごいと思いました。夢のあるお話を聞けてとても面白かったです。私も仕事以外の自分の活動をもっと頑張ります!

宇野 真由子

Writer 宇野 真由子

1979年生まれ。北海道出身。ビジュアルアーツ大阪校写真学科卒業。
写真専門ギャラリーでの勤務を経て、沖縄に移住。撮影会社にてブライダルを中心とした人物撮影や商品撮影等に従事。2015年秋に大阪へ戻り、フリーランスとして活動開始。撮影以外にも、写真教室・ワークショップ等、写真の楽しさを広める活動も開催している。
http://unophotoworks.top/top/

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