国内外で暮らす女性たちが、「しなやかに、じぶんらしく生きる」日常をお届けするエッセイ。
コロナ禍で先行きが見えない生活の中で、バタバタ忙しい日常の中で、少し狭くなりかけた視野を広げ、自分らしく生きるヒントをお届けします。

先週のエッセイのテーマ、日本の夫婦別姓に引き続き、フランスの事情をご紹介!
フランスのパートナーシップには、昔からある婚姻関係と、日本で「フランス婚」として知られるPACS(連帯市民協約)があります。
どちらを取るのかによっても、姓の決め方が変わるのですが、もとより、フランスでは生まれたときの名前は死ぬまで公的な名前で、養子縁組をする場合を除いて、自分の名前を変えることはできません。
ということは、公的にはみんな夫婦別姓ってことですね!
といっても、夫婦が皆、別姓を名乗っているということではなく、一般的なのは、結婚相手の姓を「Nom d'usage(利用姓)」、いわゆる「通称」として指定し、毎日の生活で使用しています。
もう少しわかりやすくするために、
旧姓:山田
夫の姓:デュポン
名前:マサコ
という例で説明しますね。
この場合、デュポンさんとの婚姻手続きの際に「Nom d'usage(利用姓)」をデュポンとして申請すれば、毎日の生活で「デュポンマサコ」と名乗ることができます。
「Nom d'usage(利用姓)」で夫の姓を使っていたとしても、公的書類には「Nom de naissance(生まれたときの姓)」や 「Nom de jeune fille(独身時代の姓)」という欄があり、日本でいう旧姓を入れる必要があります。具体的には、公的証明書(例えば外国人が持つ滞在許可証)には「山田 デュポンの配偶者 マサコ」と表示され、運転免許証に至っては、旧姓しか書いていません。
「Nom d'usage(利用姓)」は、法律に従って自由に設定できます。夫の姓、妻の姓だけでなく、複合姓というものもあって、二人の姓をくっつけることも可能です。山田さんの例の場合は、「山田デュポン」か「デュポン山田」という姓を名乗ることもできるのです。一方、PACSでは、自分の姓を名乗るしか選択肢がないそうです。
なんというか、姓のオーダーメイドという感じですね(笑)。
結婚するときにろくに調査もしていなかったので、私も複合姓とかやってみたかった〜と今になって思っています。
■おまけ■
私のフランス人の友達は、自分の姓と夫の姓を合わせた複合姓を名乗っています。その理由を聞くと、夫が再婚で、夫の姓に改姓すると、夫の前妻と同じ姓になってしまう(前妻は、離婚しても子どもと違う姓になりたくないと、前夫の姓を名乗っている)のが嫌だからだそうです。おもしろい理由ですよね。