めんどうな滞在許可証申請

国内外で暮らす女性たちが、「しなやかに、じぶんらしく生きる」日常をお届けするエッセイ。
コロナ禍で先行きが見えない生活の中で、バタバタ忙しい日常の中で、少し狭くなりかけた視野を広げ、自分らしく生きるヒントをお届けします。

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滞在許可証更新手続きのため、移民を管轄する警察署へ行ってきました。何度行っても慣れない場所です。

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日本の友人から、「長期滞在のビザがあればイタリアに居られるのよね?」と聞かれたことがありますが、実際には長期ビザだけではダメで、別途滞在許可証を取得する必要があります。

日本のパスポートのビザでEU圏内は年間3ヶ月以内の滞在が認められていますが、3ヶ月を超えてイタリアに滞在する場合は、まず在日本イタリア大使館・領事館で長期のビザを発行してもらい、イタリアに入国してから8日以内に滞在許可証を申請します。

申請にはKIT(キット)と呼ばれる申請用書類を郵便局で入手し記入するのですが、これがかなり面倒な書類で、内容が難しいうえ全てイタリア語。これから言葉を学ぼうとしている人にはハードルが高く、せめて英語表記のものがあれば良いのにと思ってしまいます。

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KITを記入したら必要書類のコピー(申請する滞在許可証のタイプにより必要書類の内容は異なります)を添えて郵便局から申請、同時に手数料を支払うと、警察署での予約用紙や申請の控え、領収書などがもらえます。
ただの紙なのですが侮るなかれ、これらの用紙が最重要。滞在許可証が発行されるまでの間は、これらが許可証の代わりとして効力を持つのです。
実は過去にスリにあい用紙を紛失して散々な目にあった経験があるのですが、長くなりますのでまた別の機会にお話ししますね。

警察署の予約日が来たら、上記の用紙、パスポート、写真、申請時に送付した書類の原本などを持参し、手続きを行います。そのときに、指紋なども採取されます。

手続き完了後さらに1ヶ月以上経ってから、滞在許可証の窓口受け取り日時を知らせるSMSが携帯電話に届きます。受け取り日に再び警察署に赴くと、用紙と引き換えにようやく許可証を受領することができます。なんとも長い道のりです!

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ローマ、ミラノ、フィレンツェなどの都市圏は在住外国人が増えたこともあり、滞在許可証申請から受け取りまでの期間が年々長期化しています。以前フィレンツェは申請から受領まで約3ヶ月だったのですが、ここ数年は1年近くかかるようになりました。

ひどい場合には受領まで1年以上待つ人もいるそうで、語学学校勤務の友人の話では、ようやく受領できたと思ったら、受け取った時点ですでに許可証の期限が切れており、慌てて更新申請する羽目になった学生が数名いたのだとか。学生用の滞在許可証は最長1年までとなっているので、これは問題ですよね。

これは極端なケースかもしれませんが、申請から発行まで1年もかかる滞在許可証に意味があるのだろうか?と感じざるを得ません。他国がどのような状況なのか良くは知らないのですが、ドイツでは滞在許可証の発行が早く、1年もかかるなんてあり得ないことだと言う話は聞きました。

でもここはイタリア。外国人としてここに住まわせてもらっていることに感謝しつつ、気長に待つしかないようです。
今回、申請からすでに半年を経過した私の滞在許可証。少しでも早く受け取れますように!

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Sachi

Writer Sachi

大学でのイタリア美術史研究に端を発するイタリア愛が高まり、2013年秋に東京での会社員生活を捨ててイタリア・フィレンツェのジュエリー学校へ留学。2年間在学の後この地に留まり製作を続けています。
未来の自分が後悔しないために、やりたい事は実現させる。今を楽しむ!をモットーに、40代シングル外国人には決して楽しいことばかりではないイタリア生活を、マイペースに”楽しく”やっています。

instagram:@sacifelice Online shop: Felicina Design

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