キアンティ日帰り旅

国内外で暮らす女性たちが、「しなやかに、じぶんらしく生きる」日常をお届けするエッセイ。
コロナ禍で先行きが見えない生活の中で、バタバタ忙しい日常の中で、少し狭くなりかけた視野を広げ、自分らしく生きるヒントをお届けします。

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友人に誘われて、フィレンツェからバスで約1時間のキアンティ地方に位置する小さな町、グレーベ・イン・キアンティ(Greve In Chianti)へ日帰り旅をしてきました。

キアンティワインを製造販売するワイナリーの多いこの地域は、遺跡や美術館などの見どころはあまりありませんが、カントリーライフを満喫できるアグリツーリズムが盛んで、とくに夏場はアメリカやヨーロッパ圏内からの長期滞在型バカンスを楽しむ観光客がたくさん訪れます。
今は初秋にあたり朝晩は寒く、ブドウの収穫も始まっている時期ですが、意外にも町にはまだたくさんの観光客が残っているようで、あちこちでイタリア語以外の言葉を耳にしました。

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キアンティのブドウ畑

「展望台はこちら」の案内板につられて坂を上っているうちに、気がつけば展望台を通り過ぎてキアンティの田舎道をてくてく歩いていました。
聞いてみると、その道をまっすぐ行けば小村に行き当たるとのこと。徒歩30分の距離とのことで、風景を楽しみつつその村に行ってみることにしました。

モンテフィオラッレ(Montefioralle)というその村は、イタリア国内で308カ所指定されている「イタリアの最も美しい村」のひとつでした。小高い丘の上に築かれた中世から続く村で、周囲を徒歩で一周しても10分程度しかかからないほど小さく、村の住民は80人ほどだそうです。

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ちょうどお昼時だったので村のレストランに入ってみると、なんと平日にもかかわらず予約でいっぱい。自宅をレストランとして開放している家庭料理レストランで、眼前にキアンティの絶景が広がる広い庭にたくさんのテーブルが並べられていました。
このAlberto's Home Restaurantは固定メニューはなく、その日手に入った新鮮な材料を使った家庭料理を日替わりで提供しているそう。インターネットを見ると評価も高く、次回はきちんと予約して再訪しようと心に決めました。

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Montefioralleから見たキアンティの風景

15年ほど前、トスカーナ州内のアレッツォという町に短期語学留学をしていたとき、学校で親しくなったアメリカ人老夫婦に誘われて、キアンティのワイナリー巡りをしたことがあります。
家族経営のこじんまりとしたワイナリーから、お城のような建物のワイナリーまで、ワインはあまり飲めない私ですが見学するだけで楽しかったです。
驚くべきはそのワインの価格。業者を仲介せず生産者から直に購入するので、店頭に並ぶときには何十ユーロにもなっているであろうワインが10ユーロ以下なのです。友人夫婦はワインを毎晩一本ずつ開けるそうで、アレッツォ滞在中に全部飲み切れるからと行く先々でワインを購入していました。

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オリーブの実がだいぶ色づいていました

キアンティでは、たいていどこのワイナリーでもオリーブオイルを生産しており、オリーブオイルも試飲することができます。この時人生で初めてオリーブオイルを「飲んだ」のですが、それまでオイルを飲むという発想がなく、飲めるほどおいしいオイルがあるのだというのを知り、驚いたのを覚えています。
イタリア人の友人曰く、オリーブオイルは「オイル」というよりは「オリーブの果汁100%ジュース」なのだと。

あとひと月ほど経てばオリーブの収穫が始まります。今年の新オイルが今から楽しみです。

※レストランに興味のある方はこちらをご覧ください
Alberto's Home Restaurant (モンテフィオラッレ) の口コミ128件 - トリップアドバイザー (tripadvisor.jp)

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Sachi

Writer Sachi

大学でのイタリア美術史研究に端を発するイタリア愛が高まり、2013年秋に東京での会社員生活を捨ててイタリア・フィレンツェのジュエリー学校へ留学。2年間在学の後この地に留まり製作を続けています。
未来の自分が後悔しないために、やりたい事は実現させる。今を楽しむ!をモットーに、40代シングル外国人には決して楽しいことばかりではないイタリア生活を、マイペースに”楽しく”やっています。

instagram:@sacifelice Online shop: Felicina Design

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