日本の男性の家事時間に衝撃! 家事分担の不満はどう解消する?

最近ありがたいことに、女性の多様な働き方をテーマに、人前で話す機会をいただくことが増えてきました。私自身、これまでの活動や今後のことについて改めて考え、整理するよいきっかけになっています。今回は、今月登壇したイベントのひとつ、「日本家政学会関東支部若手の会」で聞いて興味深かった「家庭における家事分担」について書こうと思います。

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Photo by Charles L.

なぜ、家政学会のイベントに?

そもそもなぜ私が「家政学会関東支部若手の会」にお声がけいただいたのか、不思議に思う方も多いかもしれません。「家政学」と聞いて、みなさんはどんな学問を想像しますか?

じつは私もあまりよく知らなかったのですが、家政学とは「家庭生活に関わるあらゆることについて研究する学問」で、最近では「生活科学」ともいわれているそうです。生活全般についてなのでかなり幅広く、食物学,被服学,児童学,住居学,家庭経営学などがあり、中でも今回は、家庭経営学の観点から見た「家庭と仕事〜家庭生活マネジメントと多様な働き方〜」がテーマ。そこで、私からは女性の働き方が多様化していることやフリーランスへの関心が高まりについて当事者目線でお話してきました。

家事の性別役割分業はひと昔前の考え方

女性が社会で能力を十分に発揮していくために、男性中心ではない多様な働き方が求められている今、家庭生活をうまくやりくりしていくためには、男性の家事育児の分担は欠かせません。でも実際、総務省が行った「社会生活基本調査」結果によると、日本の家事関連時間は男性が42分,女性は3時間35分と男女間に依然として大きな差があり、諸外国と比較してみても、日本の男性の家事関連時間は短くなっています

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出展:総務省統計局「社会生活基本調査結果からわかること」

続いて、夫婦で家事をどのように分担しているのかという具体的な調査結果について、東京学芸大学教育学部生活科学講座・藤田智子先生による「生活経営学の立場からの家庭生活マネジメント~家庭科教育の視点も交えて」の講演の中の「日本の家庭における家事育児の現状と課題」から抜粋してご紹介したいと思います。
※なお、これらのデータは、お茶の水女子大学・社会連携室外部受託研究(代表者:石井クンツ昌子)の一部である「子の発達段階に応じたキャリア・デザイン研究会」(代表者:坂本有芳)の一環として実施した調査研究の一部にあたります。また、日本家政学会第66回大会(2014年5月)にて発表されています。

● 家事の遂行状況

20150926_ono_2.pngすべての家事において、やはり妻の家事遂行頻度が高い結果に。夫がほぼ毎日担当する家事で多いのは「食事のあとかたづけ」「風呂の掃除」になっています。

●夫への家事促進行動

20150926_ono_3.png妻が夫にする家事促進行動で最も多いのが、「夫がしたことに礼を言う・褒める」。「夫の分担を決めて任せる」というのが意外と少ないことに驚きました。

20150926_ono_4.jpgさらに、子ども(末子)の成長に合わせて、夫の家事頻度はあまり変化がなく、しかも妻が夫への家事促進行動を行わなくなっている(=あきらめている!)というデータもありました。子どもに手がかからなくなるにつれて育児の負担は減っていきますが、その他の家事の大半はおもに女性が担当している、という日本の家庭の現状が見て取れます。

そして、夫に家事をもっと分担してもらうためにはどうしたらよいか、という方へのアドバイスとなる結果はこちら。

●夫の家事遂行と促進行動との関連

20150926_ono_5.png夫への促進行動では、「分担して任せる」のが最も有効とのこと。そして、一度任せたら、それに対して文句を言わないこと(夫が洗ったお皿をこっそり洗いなおすのはNGです(笑))。子どもが小さくて家事量が多い段階に夫の家事分担を促進し、そして決してあきらめないことが大事なようですよ。

夫婦(家庭内)で柔軟性のバランスをとるという考え方

講演後に開かれた座談会では、

「自分でやりくりができる自由な働き方を求める女性が増えているということは、つまり、子どもの発達段階に合わせて妻が仕事と家事の時間を調整している、ということにすぎないのではないか」

という意見や、

「子どもが小さいときは突発的な対応を求められることもあるので、夫婦のうちどちらかが柔軟な働き方をしていたほうがバランスがよいのではないか。最近は男性がフリーランス、主夫というケースも増えてきている」

といった意見なども出て、議論が盛り上がりました。

みなさんのご家庭やまわりではどうでしょうか?

自由度が高いフリーランス、とくに在宅フリーランスの場合にはなおさら、「家にいる時間が長い方が家事をやるのは当たり前でしょ」とパートナーに言われたという話をよく耳にするような。もちろん、それぞれの家庭の事情や価値観の違いはありますが、仕事のストレス、家事・育児のストレスのどちらかに偏りすぎてしまう状態が健全ではない、ということなのかなと思いました。

藤田先生いわく、「家事は健やかな家庭生活を営むために、大人も子どもも男女とも必要なこと。そのためにも、性別役割分業意識を植え付けない家庭科教育が重要です。基礎的基本的な知識と技能を身につけることで家事を楽しくすることもできます。人やモノ、お金、時間をどのようにマネジメントするか、つまりどのように生きていくかを考えるのが家庭科教育であり、そのベースにあるのが生活経営学であり家政学です」とのこと。そして、学校教育だけでなく家庭内でも、子どもには小さいうちから、「お手伝い」という感覚ではなく、「自分が主担当である」という意識で家事を分担するのがよいというお話もありました。

これからの時代、男性にも家事力が求められることは必至です。家事にあまり興味がなさそうな我が息子にも、今からさっそく実践していこうと思いました。

オノリナ

Writer オノリナ

Webプロデューサー・リズムーン編集長
リズムーンを運営する合同会社カレイドスタイル代表。女性向けWebメディア編集、フリーランスを経て、2014年に法人を設立。国内外のネットワークを活かして最適なチームを組みながら、研究機関のサイエンスアウトリーチ支援や、企業オウンドメディアの女性向けコンテンツ企画・制作を数多く手がけている。また、独立時に苦労した自らの経験から、女性フリーランスコミュニティ「リズムーン」を2009年に立ち上げ、「個」が主役の多様な働き方を加速させる社会の実現に向けた事業・サービスを展開している。プライベートでは、3人の子を持つワーキングマザー。趣味は卓球。

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