「フリーランスの退職金、今からどう準備する?セミナー」開催報告

4月に特集し、反響が大きかった「フリーランスと社会保障」。特に心配の声が大きかったのは「老後のお金」についてでした。

そこで、去る11月29日(水)「フリーランスの退職金、今からどう準備する?セミナー」を開催! 退職金制度がないフリーランスが、老後に向けていくらお金を準備すべきなのか。また、今から準備するためにはどのような方法があるのか等について、公的保険アドバイザーの高祖健司さんにレクチャーいただきました。

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将来の年金額がわかれば、準備すべきお金が見えてくる

まずは、「準備すべき老後資金(退職金)」を知る第一歩として、「ねんきん定期便」と、高祖さんがご用意くださった「ねんきん定期便チェックシート」を使って、将来の年金額を試算する方法を教えていただきました。

全員が同じサンプルを使い「この先ずっとフリーランスだった場合(1階部分のみ)」と「3年後に法人化した場合(厚生年金加入=2階部分が追加)」の2パターンをシミュレーション。1階部分の少なさに驚くと同時に、高祖さんからは"その人の状況やタイミングによっては、法人化もひとつの選択肢としてありなのではないか"という問いかけも。税務面とはまた違った法人化へのアプローチに、ハッとさせられた方もいらっしゃったようです。

※1階建て・2階建て等、老齢年金のしくみについては→「フリーランスと社会保障④:1階部分しかもらえない!老後にどう備える?」

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将来の年金額の出し方がわかったら、次は、いよいよ「準備すべき老後資金(退職金)」の計算方法です。

例えば、夫婦二人で"ゆとりある生活"を送るための生活費は「35万円/月」(必要最低限の生活費は「22万円/月」)、現在の平均寿命は「男性が80歳」「女性が87歳」とのこと。将来自分が「毎月いくら必要か」と、「何歳まで生きるのか」を考えて掛け算していくことで、「老後必要なお金(生活費)」が出てくるそう。そしてそこから、最初に試算した「将来貰える年金額(夫婦の場合は夫の年金額も合算)」を引いた金額が、「足りないお金」=「準備すべき老後資金(退職金)」になるというわけです。

実際に自分の手で計算し、具体的な数字が出せることがわかると、参加者の中からは「スッキリした」「これまで直視できなかった不安がわかって安心した」と言った感想が出ていました。

「小規模企業共済」「iDeCo」など、税金面でメリットがあるものも

そして、自分の不足分(準備すべきお金)がわかったら、今度はそのお金をどうやって準備していけばよいのか、というお話に入っていきます。

ここでは、フリーランスが効率的に資産形成をするための手段として「小規模企業共済」「iDeCo」「つみたてNISA」(2018年1月からスタート)「変額保険」の4つのご紹介がありました。

例えば、「小規模企業共済」「iDeCo」については、掛け金が全額所得控除になるため、今現在の節税に繋がるほか、将来一時金として受取る際も、「退職所得控除」が受けられるため、民間の商品にはない税務面でのメリットがあるのだとか。商品を選ぶ際は「お金の出口も考えたほうがよい」というお話に、興味深く耳を傾ける姿が見受けられました。

また、税務面のメリットと言えば、「iDeCo」「つみたてNISA」については、運用益が非課税(つみたてNISAは20年間)に。これには、「これからは"投資"という概念にも目を向けてくださいね」という国からのメッセージが込められているのだそう。

今や銀行の普通預金にお金を預けているだけでは増えない時代です。投資をうまく組み込みながら、老後のお金を準備していきたいですね。

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国の制度を知り、手薄い部分を民間保険で補う

そして最後には、フリーランスとして長く働くためのリスク対策のお話も。まずは国の制度を知ることで、民間の保険でカバーすべきところが見えてくるとのことで、「高額療養費制度」「遺族年金」「障害年金」などの説明がありました。

中でも、国の制度である「高額療養費制度」の解説では、事前に「限度額認定証」を発行しておくことで、窓口負担が自己負担限度額(約9万円・収入によって5段階あり)で済むと言うお話に、「それは知らなかった!」という声も。

この他にも、「傷病手当金」「遺族厚生年金」など、会社員にはあるがフリーランスにはない国の保障のお話や、何をどう民間の保険で備えていけばよいのかの解説が。最後は「ご自身で勉強するのも大切ですが、ただでさえ忙しいフリーランスの方は、分野ごとに頼れるパートナーを見つけて、自身の本業に注力してください」というメッセージをいただき、あっという間に2時間の講義が終了となりました。

※ケガや病気への備えは→「フリーランスと社会保障②:病気・ケガでの収入ストップにどう備える?」

それでは最後に、参加者の感想の一部をご紹介します!

自分が貰える年金額の計算の仕方がわかった。お金の出口にもポイントがあるとは知らなかった。

現状を理解することが出来てスッキリしました。が、会社員がうらやましいと言うか、自営業に対する国のサポートの無さにガッカリしてしまいました。

他のフリーランス女性と知り合えるのは、とてもありがたいです。

気になっていても怖くて直視できなかったことが、目に見えて安心しました。

お話を聞けば聞くほど、もっと知りたい事が増えました。


少人数ならではのアットホームな雰囲気の中、途中コーヒーとお菓子で糖分を補給しつつ、終始なごやかなセミナーとなりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

釘宮 優子

Writer 釘宮 優子

広告制作会社でのカタログ・パンフレットの編集・コピーライティング、金融専門研修会社でのテキスト編集等を経て、2016年よりフリーランスの編集者・ライターに。マネー・働き方関連の取材記事、人物インタビューをメインに活動中。AFP(日本FP協会認定)。プライベートでは、10歳年下の夫と2013年生まれの娘の三人暮らし。

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