Vol.17 フリーアナウンサー 大塚美幸さん

Profile

TBS系列テレビ山梨で局アナとして勤めた後、アメリカへ。2005年夏に帰国し、フリーランスのアナウンサーとして活動をスタート。現在は、言葉全般に関わる仕事をテーマに、アナウンサー業だけでなく、コミュニケーション術・話し方講座の講師を務めるなど幅広く活動している。圭三プロダクション所属。

大塚さんのブログ
365日Happyにいこう♪

局アナの仕事にやりがいを感じつつも思いきってすべてをリセット

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幸せオーラあふれる大塚さんの日々を綴ったブログ。日常生活の中で起こったプチHappyな出来事をほぼ毎日更新中。

 「ニュースにしても、野球中継にしても、同じ内容を放送することは二度とありません。すべてが一期一会。だからこそ、一つひとつの仕事は、適度な緊張感と高揚感を持って、全身全霊、全力でのぞみます。アナウンサーは決して省エネではできない仕事ですが、終わったときの充実感は相当のもの。だから、辞められないんだと思います」

 そう話すのは、女性の花形職業のひとつ"局アナ"を経て、現在はフリーアナウンサーとして活躍している大塚美幸さん。その場の空気がぱっと明るくなるような華やかさがあり、いかにもアナウンサーらしいハキハキとした受け答えがとても印象的だ。昔からアナウンサー志望だったのかと聞くと、全く違っていたそう。大学時代、TOKYO FMでパーソナリティのアルバイトをしていた流れでマスコミを志望し、テレビ山梨に内定。「他のアナウンサー希望の方に申し訳ないくらい、トントン拍子で決まってしまって」と遠慮がちに話す。

 だからこそ、入社後の研修は大変だったという。まわりは、学生のときからアナウンサースクールに通い、すでに基礎をしっかりと身につけていた同期ばかり。みんなが当たり前にできていることができない。「私にアナウンサー業が務まるんだろうか」と落ち込むこともあったが、同期の支えに助けられながら半年の研修期間を乗り越え、なんとか局アナデビューを果たした。担当するコーナーが1分間の生コマーシャル(CM)から、お天気、ニュース、生中継のリポート......とステップアップしていくごとに喜びとやりがいを感じながら、新鮮で充実した日々を送っていた。

 しかし、新人から中堅へ、という時期に差し掛かったころ、「このまま局アナ生活を続けていっていいのだろうか」と漠然とした不安が大きくなっていったという。「局アナということで、まわりからちやほやされたり、局に守られていると感じることが正直ありました。だからこそ、局アナという立場を超えて"ひとりの人間"としてたくさんの人と出会い、新しいものを吸収して、もっともっと自分を磨いていきたいと思ったんです」

 一度、すべてをリセットしたいと思った大塚さんは、5年間勤めたテレビ局を退職する。あまりにもいさぎよい決断。"局アナ"という肩書きを捨てることにも、まったく抵抗はなかったという。退職後、オーストラリアに留学していた友人のもとを訪ね、女性二人で約一ヶ月かけて、オーストラリア中を旅した。人生初のバックパッカー旅行。男女混合の安宿に泊まったり、旅先でいろいろな人と出会ったり......。最初は戸惑いや不安を感じることが多かったが、次第に慣れ、世界観が変わるような貴重な体験をした。「もっといろいろな世界を見てみよう」そう思った大塚さんは、帰国後、今度はアメリカ・ボストンへと渡ったのだった。

華やかな局アナ生活から一転!価値観ががらりと変わった異文化体験

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リアルタイム文字放送の中継で欠かせないプロ野球選手のデータ本やテレビ局に入るときのIDカード。 ※リアルタイム文字放送とは、字幕放送専門のアナウンサーが実況・解説を要約し、その音声が音声認識文字化システムによってリアルタイムで文字化されて放送されるというもの。

 アメリカでは、大好きな野球観戦に明け暮れたり、アルゼンチン、ペルー、ボリビアなどの南米諸国へバックパッカー旅行に出かけたり。素の自分に戻って、いろいろな人種の人たちと出会い、異なる国の文化に触れる中で、自分の価値観が覆されるような経験を幾度となくした。

「日本では普通だと思っていたことが全く通用しなくて......。それ以来、『当たり前だと思っていたことは、当たり前ではない。ありがたいことなんだ』と、すべてのことに感謝するようになりました。あと、自分はすごく狭い世界の中で生きていて、そこで起こった些細でどうでもよいことを気にしていたんだなあ、と気づいて。"本質さえ外れていなければOK!"と、いい意味で大雑把になり、あまり細かいことを気にしなくなりました」
zの経験が、帰国後、フリーで活動を始めた大塚さんの仕事に対する姿勢や仕事内容そのものをがらりと変えたという。

 まず、制作に関わるスタッフへの感謝の気持ちが以前よりも強くなった。アナウンサーという仕事は、大勢のスタッフが準備してきたものを最後に引き継いで、視聴者やお客様へと届けるナビゲーターのようなもの。自分が最後に泥を塗って、スタッフのそれまでの頑張りを無駄にしてはいけない。そうならないためにも、局アナ時代よりも自分の役割を理解し、プロ意識をより強く持って仕事に取り組むようになったそう。

 そして、テレビの仕事だけにこだわらなくなった。リアルタイム文字放送という新しい分野の仕事にチャレンジしたり、パブリック・スピーチ研修やコミュニケーションスキル講習を企業で行ったり。局アナ時代にはトライしたくても難しかった新しい分野での仕事に自由に飛び込んでいくようになった。また、アメリカでブラッシュアップした英語を使った仕事が増え、結婚式やイベントでの司会など、今では約半数以上が英語を使う仕事になった。

 一旦はキャリアをストップすることを選んだが、アメリカでまっさらな状態で過ごした2年半という月日が大塚さんを大きく成長させ、アナウンサーという仕事の魅力を再発見したり、仕事の幅を広げるきっかけにもなった。「局アナを辞めて、アメリカへ行ったことがこんなにも自分にとってプラスになるとは思わなかった。本当に行ってよかったと思っているんです」

言葉に関わること全般を通じて、たくさんの人をハッピーにしたい!

 局に守られていない、いつ仕事がなくなるかわからない、というフリーランスならではのリスクは常につきまとうが、「局アナ時代にはなかった自由があり、ひとりの人間としていろいろな人に出会って、新しいことを経験し、吸収できるのがなによりも楽しい!」と話す大塚さん。

 プライベートでも、仕事の合間をぬって、カラーセラピストやフラワーコーディネーターの資格を取得したり、ボランティ活動にも参加したり。"常になにか新しいものを追求していたい、そして始めたらとことん追求していきたい!"という攻めの姿勢を大切にしている大塚さんにとっては、局アナという枠組の中ではなく、フリーランスという自分で自由に創造していけるワーキングスタイルがぴったりはまっているという。

 これからは、話し方やコミュニケーションを軸に、人と人とをリアルに繋ぐナニカを企画していきたいと考えている。「アナウンサーには、司会進行やナレーションといった話すテクニックはもちろんのこと、その場の空気をどう盛り上げるのか、相手の気持ちをどう引き出すのかといったコミュニケーションスキル、第一印象で自分をどう見せたいかというセルフプロデュース術など、さまざまなスキルが求められます。先輩たちのご指導のもと身につけてきたそれらのスキルを使って、まわりの人が、今日よりも明日、もっとハッピーになるためのお手伝いができたら、と思っているんです」

ある一日のスケジュール

06:00 起床、身支度をしながら朝食をとる
07:30 自宅を出て、ロケ集合場所へ
08:00 ロケスタート。この日は、港区広報番組『やっぱりみなと ぐぐっとGood!』レポーターのお仕事
17:00 ロケ終了後、テレビ局へ移動
18:00 テレビ局に到着。野球(巨人戦ホームゲーム)実況スタート
21:00 実況終了
22:00 スタッフと夕食へ
24:00 帰宅後、入浴など寝支度
01:00 就寝

ピンチもこれがあればOK!私の最終兵器はコレ

少しでもまとまった時間ができると、ハワイ・ホノルルへ行きます。ショッピングをしたり、最近ハマっているゴルフを楽しんだり。年2〜3回はハワイにでかけています。

Q&A - 自分スタイルの働き方を実現するための5つの質問

フリーランスで活動を続けるために大切にしていることは?
人との出会いが何よりも大事。お誘いを受けたら、できるかぎり出かけてたくさんの方にお会いするようにしています。どんな方との会話の中でも、自分にささるキーワードが必ずあります。いつも学びの姿勢を大切にしています。
スキルアップで行っていることは?
発声練習や声色を変えてのナレーションの練習は、今でも時々行っています。顔の筋肉を大きく動かすので、シワ予防になったり、小顔効果もあるんですよ。
座右の銘は?
Don't postpone JOY!!!(^-')b
尊敬する人は?
元NHKアナウンサーで、現在もフリーアナウンサーとして活躍されている加賀美幸子さん。ナレーションのバリエーションの多さなど勉強させていただくことが多く、憧れの存在です。
より自分らしく輝ける働き方を見つけたい人へのメッセージ
いつもやりたいことに純粋にまっすぐであること。そして、何事も一人ではできない、みんなのサポートがあるからこそ、自分の役割を全うできるという謙虚な気持ちを忘れず、相手が望む以上のものをしっかりと届け続けることが大事だと思います。

"局アナ"という冠にこだわらない
より自分らしいワークスタイルを実現

オノリナ

Writer オノリナ

合同会社カレイドスタイル代表
心を動かす価値ある情報やモノをキュレーションして届けたい!という想いのもと、国内外のネットワークを活かして最適なチームを組みながら、企業のメディア運営やサイト制作、ECストア「24rhythm」などのWeb関連事業を手がけています。人生を欲張りに味わい尽くしたい3児の母、リケジョWeb編集者。趣味は卓球。

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