Vol.26 星空案内人® 景山えりかさん

Profile

10代後半からプロのダンサーとして活躍後、フリーライターへ転身。LOHAS、エクササイズ、スピリチュアル、著名人インタビュー等を得意とし、さまざまな雑誌やサイトで記事を手がける。星のソムリエ(星空案内人)®の資格取得後は、月(宇宙)・暦・時間とライフスタイルをテーマにしたワークショップの講師や科学館でのボランティアとしても活躍中。

景山さんのサイト
景山えりか Official Website

社会に出てからずっとフリーランス。キャリアのスタートはダンサー

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景山さんは元ダンサー、フリーライターだけでなく、さまざまな顔をもつ。星のソムリエ(星空案内人)®もそのひとつ。こちらがその認定証。

 「今まで会社勤めを一度もしたことがないんですよ」

 開口一番、飛び出した言葉に驚き、その理由をたずねてみると、
「当時はバブルの影響もあって、フリーランスでいることに何の不安もありませんでした。会社に入らなくても自分の力で稼ぐことができ、収入面でも会社員より上回る場合がありましたから」

 現在、フリーライターとして活躍する景山えりかさんだが、以前はオペラやミュージカル、イベントなどに出演するプロのダンサーだった。都内の有名私立女子高校からそのまま一貫校の短大へと進み、在学中にオーディションに合格し、ダンサーとして活躍すること約13年。その後、ライターに転身してからも、ずっとフリーランスを貫いている。それにしても、前職がダンサーとは!

「きっかけは高校の部活動です。ダンス部に入って夢中になりました。短大に進んでから自分の力を試してみたいと、あるテーマパークで募集していたダンサーのオーディションを受けたんです。競争率が高かったのですが、運よく合格! それを皮切りに、活動の場をどんどん広げていきました」

 ダンサーの道へ進んだ背景にはもうひとつ理由がある。もともと文章を書くことが好きだった景山さんは、高校時代、人気女性誌が募集した読者エディターに応募。応募者300名余りの中から合格者5名のひとりとして、唯一高校生ながら選ばれたことがある。このままファッションエディターになれたら......。そんな思いもあったが、当時は高学歴社会の時代。大手出版社に入るには一流大学卒であることはもちろんのこと、英語、フランス語、イタリア語など、語学に長けていないと難しいといわれていた。狭き門にあえてチャレンジするよりも、大好きなダンスに賭けてみよう。そう考えて、エディターになる夢はそっと心の中にしまい、ダンサーの道を歩み出したのである。

 しかし、13年間のダンサー生活で体は悲鳴を上げていた。ある時、腰を痛めて、一時歩けなくなってしまったのだ。このままプレイヤーを続けていくのは厳しい。方向転換を図らなくては! そこでひらめいたのが、高校生の頃にあこがれていたマスコミの世界。
「そうだ、フリーライターになろう!」

人とつながらなければ何もはじまらない! 誠実な仕事でライター業は順調だが......

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ライターになってはじめて作った名刺は、大好きなピンクをキーカラーに選んだ。裏は光沢感のあるダークカラー。実は、なんと、これが"仕事を運んでくれる名刺"とか!?

 思い立ったらすぐに行動するタイプ。景山さんはそう自己分析する。
「何事もやってみないとわからないですから。おまけに、人に相談しないタイプ(笑)」

 腰を痛めたあともダンサーとして仕事の誘いはあったが、一度決めたら迷いはない。すべてを断り、1ヶ月間ほどバイト生活をしながら、ライターとして何ができるかを考えた。

「最初の一歩として、ある情報誌の投稿隊員になりました。希望すれば誰でも入れるコミュニティです。何かをやりたいなら、まずは人とつながりを持たないと! その投稿隊員になれば直接編集者とつながれると思ったんです。さっそくオフ会に参加したところ、そこでライターの方と知り合いになり、事情を話すと、仕事を紹介してくださいました。懸賞にまつわる雑誌だったのですが、いきなり記事を書くことに! 実は、そのライターさんの仕事だったのですが、そろそろ誰かに譲りたいと思っていたところに、都合よく新人の私が現れたというわけで(笑)。でも、私にしてみれば、仕事をもらえたことがうれしくて! 不安? まったくなかったですね。だって、チャンスを与えてくださったのですから、それに報いるためにもがんばらないと! だから、誠心誠意を込めて、全力投球で取り組みました」

 書き手の情熱は、自ずと作品にも映し出される。120%の力で臨んだ記事はとてもおもしろく、なんとレギュラー化が決まった。新人ながら多数のページを担当するようになり、着々と実績を積み重ねていく。けれど、書くのはつねに同じ雑誌。もっと仕事の幅を広げたい!
「その出版社ではオーディションに関する雑誌も出していたので、そこで仕事ができないか編集者に持ちかけてみました。ダンサーとして数え切れないほどオーディションを受けてきましたから」

 気むずかしい演劇プロデューサーも、景山さんの前ではいろいろと話してくれた。事情に詳しいというだけでなく、人の心をつかむ力が景山さんにはあるのだろう。取材はもちろん、原稿も評判が高く、仕事の依頼も増えた。しかし、忙しくなればなるほど、時間に追われ、生活は不規則になる。仕事は好きだけれど、これでいいのだろうか......?

ハワイ島での体験がターニングポイント。心豊かなライフスタイルに

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マウナケア山から見る夕日(上)と月(下)。「夕日や月は、これまでにも幾度となく見たことがあります。けれど、ハワイでの体験は今まで感じたことのないようなものでした」

 転機は思いがけず訪れるものだ。友人に誘われて、ハワイ島の最高峰、マウナケア山に登頂したことがきっかけで景山さんの人生は大きく変わる。

「満月の前日に登り、雲海を眼下に、頂上で夕日を見ました。西の空へ太陽がゆっくりと沈みはじめ、東の空には月がぽっかりと浮かび上がる......。地球の上に立つ自分と、太陽、月が一直線上に並ぶ瞬間! あぁ、時間に追われている自分はなんてちっぽけな存在なんだろう! そもそも、私たちが認識している"時間"は人間が勝手に決めたものであって、本来の"時間"は宇宙が決めるもの。天体のサイクルがそれぞれ違うように、時間にはいろんな軸があって、人もそれぞれ自分の中に軸をもっています。それに気付けば、"自分の時間"と"社会の時間"のバランスがうまくとれるようになり、もっとラクに生きられるんじゃないか? そう思うようになったんです」

 以来、景山さんは宇宙や天体に興味をもつように。思い立ったら即、行動。本を読んだり、インターネットで調べたり。そうしたなかで見つけたのが「星のソムリエ(星空案内人)®」だ。山形大学理学部の柴田晋平教授を発起人とする星空案内人®の資格認定講座では、豊かな知識と経験からおいしいワインを選んでくれるソムリエのように、星空や宇宙の楽しみ方をさまざまな人たちにわかりやすく伝える人材育成をめざしている。

「『これだ!』と直感し、すぐに問い合わせをしました。けれど、そのときの募集はすでに締め切られていたので、半年ほど待って改めて申し込みをして、やっと受講資格を得ることができたんです。それから毎週金曜の夜に開催される講座に参加するために、往復8時間、1泊2日の時間を割いて、2ヶ月半あまり山形へ通いました」

 どんなに仕事が忙しくても、講座に通い続けることができたのは、星空に対する興味はもちろんのこと、迎えてくれる山形の人たちの温かさのおかげでもある。老若男女、星がとりもつ縁でのつながりが楽しい、と景山さん。天文関係者の方たちとの交流も盛んになり、勧められて千葉市科学館でのボランティアにも参加するようになった。

「以前よりも確実に忙しくなってはいるのですが、ライターの仕事も、星のソムリエ®も、ボランティアも、どれも楽しみながらやることでうまくバランスが取れている感じ。星空を見上げて宇宙を身近に感じることで得られた心豊かな生活を、これからはたくさんの人にも知ってもらいたいですね」

※星空案内人®資格認定制度についてはこちらから>>
※「星のソムリエ(星空案内人)®」は、山形大学の登録商標であり、星空案内人®資格認定制度に基づく民間資格の名称です。

ある一日のスケジュール

06:30 起床、白湯を飲んだ後、ゆっくりと腰の体操。朝食をとり、身支度
08:30 家を出る
09:30 千葉市科学館でボランティア活動。途中ランチ休憩を挟む。
14:30 ボランティア活動終了後、都内へ移動
16:00 雑誌の取材
18:00 出版社で打ち合わせ
21:00 打ち合わせ終了後、帰路へ
22:30 帰宅後、仕事スタート。メールチェック、原稿書きなど
11:30 マッサージ終了。その後一旦帰宅し、昼食。時間があればカルテをまとめる
03:00 入浴
04:00 就寝

ピンチもこれがあればOK!私の最終兵器はコレ

ちょっと仕事に疲れたとき、気分転換にすることといえば、夜空を見ること。「自作の組立望遠鏡を使うこともありますが、空を見上げ、レンズを通さずに星の輝きを楽しむことが多いですね」。

Q&A - 自分スタイルの働き方を実現するための5つの質問

こだわりの名刺について教えてください。
パソコンとプリンターさえあれば、誰でも手軽に名刺が作成できる今、あえてお金をかけてデザイナーさんに作ってもらっています。ライターになった当初、2ページめでもご紹介したピンクの名刺を使っていましたが、特色で光沢感のある素材で、しかも両面印刷! 滅多にない色とデザインだったせいか、編集者や取材相手に覚えてもらえ、「ピンクの人」で仕事の依頼がきたことがあります。当時は、ケータイもステーショナリーもすべてピンクで揃えていましたし(笑)。名刺は貴重な営業ツールだと思いますね
営業活動はどのように行っている?
出版社に電話をかけて、作品を持ち込む。そういう営業活動は、今はほとんどしていません。以前、やってみたことがありますが、あまりいい結果にはつながりませんでした。それよりも、与えられた仕事に対して誠心誠意を込め、120%の力を出し切って納品することのほうが、次の仕事へとつながります。編集者とカラオケに行ったり、飲み会に行ったり、そういう仕事をもらうためのお付き合いはまったくしていませんね。といっても、無愛想であったり、人間的なお付き合いがないわけではありませんよ(笑)。とにかく仕事に対していつも全力投球することが大事! これに尽きると思います
これまで会社員になろうと思ったことは?
どこかに所属しようという気はなかったですね。今もそう。ただ、担当していた雑誌が相次いで休刊した時期があり、危機感を覚えたことがあります。出版不況といわれる今の時代、出版社は経費削減のために、フリーのライターを使わずに社員でなんとかしようとする傾向があります。そうしたなかで、いかに「この人がいないとダメ!」と思わせるか。仕事が早い、文章がうまい、専門分野があるetc. そういう"強み"があるといいですね。とはいえ、"強み"は作ろうと思って作れるものではありません。日頃から仕事に対して全力投球し、実績を積み重ねていくことで生まれるものだと思います
星のソムリエ(星空案内人)®になって変わったことは?
仕事の幅を広げようと思って、星のソムリエ(星空案内人)®になったわけではないのですが、編集者との何げない世間話のなかにも、つい星の話をするようになりますから、その方面のライティングは増えました。現在、オフィシャルサイトをもっているのですが、そこを通じて面識のない方から講師依頼や自身への取材など、星に関する仕事が来るように。ただ、高い専門性が必要とされる場合は必ず「私でいいのか?」を確認します。私は天文学者や専門家ではありませんし、立ち位置としては"サイエンス・コミュニケーター"。一般の方と同じ目線で、専門的な話題をかみ砕いて伝えるという役割です。でも、最近ではそういう人材こそ求められているという気がします。
今後の目標は?
"サイエンス・コミュニケーター"という役割を果たすべく、ライフスタイルや人間関係に入り込んで、星の話や月のリズムを意識したライフスタイルについてもっと伝えていきたいですね。ライターとしては、著書を出すことが今後の目標です。まず第一弾として、月の生活についてまとめた本を4月中旬頃に上梓する予定です。ご興味のある方はぜひご覧ください。

心の求めるままに、ダンサーからライター
そして星のソムリエ®へ

Rhythmoon編集部

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