Vol.32 神秘研究家 小泉茉莉花さん

Profile

東京生まれ獅子座のO型。大学時代に偶然手にしたタロットカードが神秘世界の扉を開く。以来、タロットカード、西洋占星術、月占術、魔法など、神秘世界の研究を始める。特に月占術に詳しく、多くの雑誌でレギュラー連載の他、著書多数。95年ジュニア小説家としてもデビュー、CD-ROMやゲーム用ソフトも手掛けるなどマルチに活動中。

小泉さんのサイト
小泉茉莉花の月占い

バリバリのキャリアウーマンから一転。「占い」がメインのライターに

占いライターとしてのキャリアはなんと24年! 著作も多数手がけている小泉茉莉花さんだが、最初から占いを仕事にしようと思っていた訳ではない。趣味でタロットは使っていたものの、大学卒業後は化粧品会社に就職し企画を担当。2年で主任になるなど順調に昇進し、精力的に働いていた彼女が「占いライター」という仕事に出合ったのは、趣味で通っていたカルチャーセンターがきっかけだった。

「やはり会社ではなく、自分で働いていきたかったのね。手に職をつけて」

実は、小泉さんは小学生の頃から「物書き」になりたかったのだ。趣味で小説を書いたりもしていたが、物書きの仕事として、占いライターという分野があることをそのとき初めて知ったという。バイト感覚で原稿を書く仕事を始めて、いつの間にか履いていた二足のわらじ。自分は「給料泥棒」だと思いながらも、会社から帰宅して原稿を書くというハードな二重生活を続けた。

そんなある時、小泉さんに上司から打診が来た。会社には「現場主義」的な風潮があり、結局、店舗に出てキャリアを積まなければ上にはいけない。「自分は接客に絶対に向かない」と思った小泉さんは、副業だった占いライターとしてフリーランスになることを決断する。

「先輩編集者から、『本当にやるの? 年取ったら、ライターなんて見向きもされなくなるよ。忙しくて死ぬか、暇で死ぬかどちらかしかない。ちょうどいいっていうのはありえないよ』って言われたけど、その時は、安定した会社員という立場や収入を捨てる不安はあまりなかったですね」

なぜなら、二足のわらじを履いていた小泉さんは、どちらかというとリッチな生活を送っていた。「でも、辞めてみたら『ありゃ?違った』って。食べられないじゃないですか(笑)」

待ってるだけじゃチャンスはこない。何十社も回って出版できた「月」の本

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自他共に認める日本一の月グッズのコレクターでもある小泉さん。膨大なコレクションは順次ブログ「月と暮らす小泉茉莉花の月的生活」で公開されている。


フリーになった最初は、占い原稿の仕事だけでは生活が厳しかったので、クロスワードをつくったり、パズルをつくったり、ゴーストライターなどもしながら、がむしゃらに走り続けた。来た仕事は、基本断らずにすべて請けた。仕事のし過ぎで、何度も体を壊した。それでもこの仕事を辞めなかったのは、やはり書くことが好きだから。

「『これでいいの?』と迷うことはあったけれど、書くことが楽しかった。さすがに最初に体を壊したときは"いただいた仕事は断らない"というモットーを泣く泣くまげて、ボリュームを調節するようにはしたけど、またすぐに元通りで。休み? ほとんどなし(笑)」

仕事を始めてすぐの頃から、小泉さんは数多ある占いの分野の中から「月占い」に注目していた。今でこそ月齢の載っているカレンダーは当たり前に売られているけれど、当時は、月占い自体が全然認知されていなかった。小泉さんは、「月占い」の本の企画書を書き、ツテをたどって熱意で出版社を回り始める。何十社も回り断られたが、小泉さんは決してあきらめなかった。そして、ついに最初の本の出版にこぎつけると、その後も何年かかけて企画を通し、月占いの本を出版し続けた。そんな地道に活動した集大成が「愛と運命の月占術」という携帯サイトになるなど、次第に形になっていく。

「芸能人でもないから、自分を売ったってしょうがないじゃない。『私を使ってください』といったところで、『じゃあ、何ができるの?』という話になる。だから、絶対に大切なのは企画力だと思う。やりたい仕事は待っていても降ってこないので、今でも自分で企画を持って行く。ゆるい企画の時は、月に絡めた企画にしちゃうとかね」

やっぱりこれが私の天職!月の魔女はしなやかに歩んでいく

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「太陽と月の魔女」で定期的にホロスコープセミナーを開催している。


好きな「占い」と「物書き」が組み合わさって、何となくやってきた。でも、「このままでいいの?」という迷いはずっと心の中にあった。そんな小泉さんが「やっぱりこれが天職」と思えるようになったのは、実は最近のこと。2009年に、同業のマリィ・プリマヴェラさんとのユニット「太陽と月の魔女」を始めてからだ。

「このユニットを始めた時も、レギュラーの仕事はたくさんやらせていただいていたけれど、特に月運の仕事が多かったから。与えられたものではなく、自分で自由に書けるのが楽しくって」

同じ仕事を25年もやっていると、いい意味でもよくない意味でも「慣れ」が出てくる。小泉さんがマリィさんとユニットを組むのは、もっと自分の活動を活性化したいという意図もあってのこと。ブログだけでなくセミナーを始めるなど異分野のことにもチャレンジしている。「もともと人前でしゃべるのは嫌いじゃないし。これからもイベントを行ったり、講座を増やしていくつもり」と話す。

そしてもちろん、月が小泉さんの活動のメインであることはこれからも変わりはない。もっと皆が気軽に月占いを活用するために月の暦を出したり、インナーチャイルドをテーマにした月星座の本を書くことで大人になってからも心の傷を抱えている人を癒したい。月占いがますます広まり、皆が自分の月星座を生かした生活を送るようになるのが小泉さんの夢なのだ。

人の持つ光と影、その両方を見つめ、自分の活躍の場を広げていく小泉さん。月の魔女はこれからも自分のペースで情報を発信し、この世界に善き種を蒔き続けることだろう。

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小泉さんのお仕事道具

原稿を書く時はホロスコープを手書きで書く。30年近く愛用してきたエフェメリス(天文暦)はボロボロだけれど手放せない(写真中のホロスコープはパソコンで作成)。

ある一日のスケジュール

09:00 起床、朝食
10:00 メールチェック
11:00 ウォーキングへ
12:00 帰宅後、原稿執筆。昼食は食べない派
17:00 夕食の準備&夕食
19:00 映画鑑賞、または読書など。映画はジャンルに問わず好きで、年に100本以上観ています
22:00 メールチェック、ブログの更新など
24:00 入浴後、就寝

ピンチもこれがあればOK!私の最終兵器はコレ

落ち込んでいる時に質素な食事をするのは一番よろしくないと思うわけです。別にとんかつがご馳走っていう訳じゃないけれど、縁起を担いで「勝つ」ためにとんかつを食べる。エビフライも元気が出ますね。

Q&A - 自分スタイルの働き方を実現するための5つの質問

なぜ月に惹かれるのですか?
月って輝いているけれど影があるでしょ。そこが好き。絶対に人にも影の部分はあるし、「私はいつもすごく幸せです」っていうのは嘘だと思う。だから、自分の影の部分をきちんと見ていくことが大切。ネガティブでもいい。常にポジティブシンキングをしなくてもいい。ネガティブな思いをバネにすればいいじゃない。意味のない「ポジティブ信仰」みたいなものにはとらわれなくていいんだと月を見ていると自然に思えてくるんです。
女性にとって、なぜ月星座が大切なのですか?
女性の場合、仕事では自分の女性性を表す月星座を生かした働き方をするのが断然楽です。基本的に、仕事って男性社会だから、男性性を表す太陽星座で頑張ろうとすると、どうしても周囲とぶつかってしまう。でも自分の月星座を上手に使うことで、仕事そのものをうまくコントロールしたり加減することができる。自分の中にある太陽と月をうまく使い分けることが大切ですね。○自分の月星座の調べ方はこちら>>
フリーランスで働き続けるために心がけていることは?
ひとりでやっていると、辛い時ももちろんあります。私は基本的にひとりで働きますが、人の縁は大切にしています。例えば病気になった時に手助けしてくれる人がいるとか、仲間と仕事を紹介し合うとか。そういう輪を作っていけば、きつくても何とかなる。そうでないと絶対につぶれてしまう。「自分だけがよければいい」ではなく、人の輪とつながりを大切にすれば、きっと乗り越えられます
占星術師を目指すために、まず一番にすべきことは?
占星術師を目指すとなると、まずどちらを選ぶのか、「書く」のか「鑑定」なのか。私は書く方なので鑑定の方は分からないけれど、どちらにも言えることは、理論だけが分かったからって占いができるわけじゃない。理論だけ分かっていても何もできない。想像力が足りない。ですから、占いの原稿を書きたい人に向けて「ストーリーをつむぐホロスコープセミナー」を始めました。結局知識だけでは、ホロスコープは読めないので、ストーリーを作っていく訓練をしていこうというコンセプトです。興味のある方はそちらにどうぞ(笑)。私は神秘研究家と名乗っていますけれど、今も研究中、修行中。常に色々なことに興味を持って情報を集めたり、映画を見たり雑誌を読むなど地道な努力を続けています
占いライターを目指したい人へのメッセージをお願いします。
何はともあれ「持久力」です。この仕事は絶対にイヤになっちゃうから、途中で。占い師っていうだけで、何か派手なことを想像しているんじゃないかな。でも本当に地味ですから。しかも占いというある種変わった分野なので、やっぱり好きじゃないと続けられない。「占いは好きですか?」と聞かれたら、私はもちろん「好き」と自信を持って答えられます。そして書くことも好き。この2つがつながって、趣味と実益を兼ねているから、自分はすごい幸せって思っていますよ。

2つの好きを仕事にして、はや24年
新たなユニット活動で新天地を開拓

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