Vol.69 ITライター・Webマスター 三橋ゆか里さん

Profile

大学在学中に雑誌の定期購読を専門に販売するオンラインショップでインターンとして働き、卒業後にそのまま入社。その後、UIコンサルティング会社、Web制作会社等を経て2009年に独立。現在は、Webディレクション、取材・ライティング、翻訳、調査案件、ソーシャルメディアのコンサルティングなどを行っている。

海外のテクノロジー、出版関係、Webデザイン、マーケティング関連の最新情報を紹介している三橋さんのブログ
TechDoll

海外生活で培った語学力を生かして情報発信!

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三橋さん公式ブログ「TechDoll」では、海外のテクノロジー、出版関係、Webデザイン、マーケティング関連の最新情報を毎日発信中! 外出で帰宅がどんなに遅くなっても必ずネットで海外の最新ニュースをチェックして記事を書き、朝8時半など通勤時間に見てもらえるように公開予約をしてから寝るのが日課。

くるくると表情が変わるチャーミングな三橋ゆか里さんは、Twitter(ツイッター)や自身のブログで海外の最新IT情報を紹介するサイト「TechDoll」を運営するITライターだ。テンポよく語る語り口から、彼女の頭の回転の早さや聡明さがうかがわれる。

「父親の転勤で小学校6年から高校卒業までニューヨークで暮らしました。この時に身につけた語学力を生かして海外のITニュースを翻訳したり、記事を執筆したり、海外のサイトを調査することも。今やっていることすべてのベースに英語があります」

三橋さんはフリーになってまだ2年弱と日は浅い。しかし、Web業界で、彼女の名前を知らない人はいないほどの活躍ぶりだ。そんな三橋さん、実は最初からITライターを目指していたのではないと言う。「パソコンは大学で卒論を書くために触ったくらい。元々文章を書くことが好きで、出版業界へ就職したかったんです。出版に携われるなら入口はどこでもよい、と思って雑誌の定期購読を販売するIT企業にインターンとして潜り込んだら、意外と自分に合っていた」と彼女は笑う。

その後、UI専門のコンサルティング会社やWeb制作会社で美容系からIT系まで幅広い分野のライティングやWebディレクションの経験を積み、2009年に独立。その後まもなく、三橋さんは今の活躍につながるきっかけを掴むことになる。それには、今ではすっかりおなじみになったTwitterとブログが大きな役割を果たしていた。

Twitter + ブログ = 私の最強宣伝ツール!

vol69_2.jpgフリーランス転向を意識し始めた頃から、三橋さんは海外の最新ITニュースを140文字に要約してTwitterでつぶやく、という試みを始めた。すると、まわりにいるIT業界の人たちからダイレクトに反応が返ってくることに気づいた。

「身近な知り合いが興味を持ちそうだなと思ったニュースを翻訳してつぶやいていたところ、ものすごく反響があって。そのうち、『せっかくだから内容をまとめて残した方がいい』と勧められて個人ブログ『TechDoll』を始めることにしました」

最新ニュースを翻訳してブログに掲載し、その更新情報をTwitterでつぶやく。日本でTwitterユーザーが急増中だったこともあり、Twitterとブログの2つを組み合わせたセルフブランディングによって、三橋さんは数え切れないチャンスを掴むことになる。中でも、「TechCrunch Japanが主宰するイベントレポートの記事を書いてくれる人を募集!」というつぶやきをたまたま見つけたことが、三橋さんの活躍の場を大きく飛躍させるきっかけとなった。

「さっそく連絡をとって原稿を執筆したところ高く評価していただけて。その後、テクノロジー関連情報を幅広く発信しているサイト『TechWave』でもお仕事をいただくようになりました。このときも、依頼主が私のTwitterやブログの記事を見てくださっていたようで、それがよい判断材料になったようです。面識がない、何も情報がない、どんな文章を書くのかも分からない人にいきなり仕事を依頼することはないと思うので、このとき、Twitterやブログでこまめに発信し続けることの大切さを身をもって感じましたね」

三橋さんは、企画を持ち込んだり、原稿を書かせて欲しいと営業したことがない。新しい仕事は、お客様からの紹介、またはネット経由で彼女を知った人から連絡が来ると言う。「私の得意とするジャンルは本当にニッチで狭い世界。海外の最新IT情報は一般の人が日常的に必要なものではありません。新規Webサービスを立ち上げようとしている方がヒントを得るために見ていることが多いので、そういった読み手を意識したニュースをピックアップするようにしています」

書くことで日本のスタートアップを応援し、世界に羽ばたく

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家で仕事をする日と外出する日は意識的に分けている。外出デーは朝から夜遅くまで打ち合わせやイベントの予定を詰め込む。空き時間はカフェでノートパソコンを開いてひと仕事。取材に必須のデジタル一眼レフカメラ、ICレコーダーはいつも持ち歩いている。スケジュール管理は意外にも手帳派なのだそう。

インタビュー中、何度も彼女の口から「スタートアップ(※)」という言葉が出てきた。最近は"スタートアップブームだ"といわれているが、実は、日本の小さなベンチャー企業が海外に進出して成功した例はまだ少ない。IT技術の最先端は海外、とくにシリコンバレーであり、世界中から優秀な人達が集まってくる。そこの情報をいかに早く入手して日本のITコミュニティの人たちに伝えられるかが、結果として日本のスタートアップを応援しサポートすることにつながる。

「技術力があり、着眼点もよいのに広まらない日本のスタートアップが、世界で通用するサービスをつくり成長するまでの姿を見てみたいんです。私が文章を書くことで、少しでも応援や貢献ができれば嬉しい。日本のスタートアップが海外進出する際のローカライズ(英語対応)やプロモーション、Webサイト立ち上げなどでもお役に立ちたいですね」

「もっと英語でよい記事が書けるようになって、仕事の幅を広げたい。将来的には海外のメディアでも積極的に書きたいですね」と今後について意欲的に話す三橋さん。アジアのテクノロジー系のニュース全般を網羅するシンガポールのサイト『Penn Olson』 で英語の記事を執筆しているのもそんな想いから。英語の記事を書くことが、何よりもよい勉強になっていると言う。

「あまり先のことは計画していません。海外に住んで仕事をするというよりは、日本と海外を行き来しながら、海外とのパイプを作ったり、ネットワークを広げていきたいですね。以前、『お前は向上心はあるが、ハングリー精神がない』と言われたことがあります(笑)。私は自分のペースで焦らずやっていきたいし、ライフスタイル重視。フリーランスになった今、とても充実しています」

持ち前の聡明さにくわえ、謙虚な姿勢とプロ意識。これからさらに活躍の場を広げ、有名になっていくに違いない三橋さんを、まずtwitterで@yukari77 をフォローして応援していきたい。

※スタートアップ
起業したばかりの企業のこと。特に米国のコンピューターやIT関連の企業が集結しているシリコンバレーで用いられる。

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三橋さんのリラックスアイテム

夜のリラックスタイムに欠かせないのが、よい香りのするアロマキャンドル。暗くした部屋にお気に入りのキャンドルを灯してからシャワーを浴び、部屋に戻るとよい香りに包まれて幸せな気持ちになれるのだそう。最近よく使っているのはFrancfrancのもの。
※右はイメージ写真です。

ある一日のスケジュール

09:00 起床、すぐにパソコンでサイトやTwitter、メールをチェック
10:00 朝食、身支度、外出準備
11:30 家を出発
12:00 ランチをしながら1件目の打ち合わせ
14:00 移動しカフェで仕事
15:00 2件目の打ち合わせ
17:00 移動しカフェで仕事
18:00 イベントに出席
20:00 夕食
23:00 帰宅、すぐに海外の最新ニュースをチェック、明日のブログ記事を書く
24:00 キャンドルをともしてシャワーを浴びる
01:00 DVD鑑賞。お気に入りは『How Do You Know』(邦題『幸せの始まりは』)『Sex and the City』や海外ドラマ『フレンズ』は全部持っている
02:00 就寝

ピンチもこれがあればOK!私の最終兵器はコレ

疲れたなと思ったときに家族からのメールを読み返したり、甥っ子からもらった手紙を見ると元気が出ます。母親とは数日に1回はメールのやりとりをしたり、平日にランチするなど仲良しなんです。

Q&A - 自分スタイルの働き方を実現するための5つの質問

フリーランスで働くメリットは?
私は飽きっぽい性格なのでいろいろなことができるのがいいですね。仕事がノっているときは土日に働くことも嫌じゃない。働くリズムやバランスを自分で作れるのも魅力ですね。あとは、「お客様に自分が必要とされている」という実感を持てることや、自分のスキルが価値になり、得意とすることをダイレクトに活かせるのもメリットかも。
仕事を軌道にのせ、維持するために工夫していることや心がけていることは?
会社員だと仕事があるのが当たり前ですが、フリーランスは次があるとは限らない。この仕事でどんな結果を出すかが重要です。次も声をかけていただけるように、仕事はしっかりこなします。当然ですが、納期は絶対に守ります。一緒に仕事をしていて、あの人に任せておけば大丈夫、信用できると思われるような人でいると、困った時や急ぎの時だけでなく、普段からお仕事をもらえるようになりますから。
仕事のボリュームコントロールはどのようにしていますか?
相手が求めているものを自分が提供できるのであれば、基本的にお断りせずに受けています。会社員時代はもっと忙しかったから、今は少し余裕があると実は思っています(笑)。オンとオフの切り替えについては、どんどん薄れている気がします。Twitterもそれなりの頻度で見ているし習慣になっているので。でも先日、海外旅行中に久々にまったくネットがつながらない状態になり、すごくリフレッシュできました。こういう時間を意識的に作っていけるといいですよね。
Twitterでつぶやくコツを教えてください。
使う目的にもよりますが、より多くの人に読んでもらう(フォロワーを増やしたい)のであれば、つぶやく頻度もある程度大切なのかなと思います。最近はずいぶん減りましたが、1日10回くらいはつぶやいているかな。つぶやいているうちに皆がRT(リツイート)する内容が分かってきたので、最近は読む人の反応を考えた上で何を書くかを選んでいます。個人的にはその人の人柄が見えることが面白いと感じるので、ビジネス寄りの話題だけでなく個人的なつぶやきも混ぜています。
三橋さんのような働き方を目指す人への応援メッセージをお願いします!
自分の軸となるスキルを持ちましょう。私の場合、ITの知識と語学力を自分の軸として活躍の場を広げてきました。また、世の中にはさまざまなWebサービスがあって女性ユーザーもたくさんいるのに、女性のITライターはまだまだ少ない。女性ならではの視点で記事を書くことが重宝されているように思います。自分から仕事をしたいとメールで問い合わせたり、人を介して紹介してもらうなど積極的に動けば必ず状況は変わります。準備万端で「さあ変えよう」とするよりも、とりあえずやってみてください。やりながら探っていった方が見えることも多いと思いますよ。

英語とITを<軸>にして
マイペースに世界へと羽ばたく

Rhythmoon編集部

Writer Rhythmoon編集部

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