Vol.70 アクセサリーデザイナー マイさん

Profile

1982年、北海道生まれ。高校生の頃からアクセサリーを作り始め、地元・北海道のカフェにて委託販売を行う。美容専門学校へ進学後は美容師を2年ほど経験し、2005年頃からアパレル販売の仕事に従事。その頃、オリジナルブランド「Pisica(ピシカ)」を立ち上げ、神戸のセレクトショップ「METAL WORKS」にて取り扱いスタート。その後、神戸市内のセレクトショップやヘアサロンにて展開する。2011年からは東京での活動を始める。

マイさんのサイト
Pisica~hand made accessories

あのアクセが欲しい!買えなかったからこそ歩んだアクセ作家の道

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天然石や淡水パール、フェザーなど自然由来の素材を活かした作品。基本的にはデザイン画を起こさず、たくさんのパーツの中からインスピレーションで素材を並べ、その瞬間の感性を信じて制作していく。石を変えてのセミオーダー、完全オリジナルのフルオーダーも受け付けている。 ※個人のイメージに合うように制作するため、お会いしたことがない方からのフルオーダーメは基本的にお受けしないそう。

ブランド名である「Pisica(ピシカ)」とは、ルーマニア語で猫の意味。「猫が好き。猫って、すごく女性的な生き物だと思うんです。気ままで、しなやかで、強く、美しい。そんな女性に似合うアクセサリーを作りたい」と、デザイナーのマイさんは語る。何故、ルーマニア語?という問いかけには、「高校時代に好きだった先生に『ルーマニア人とのハーフみたい』と言われて(笑)、それから気になる国なんです」と楽しそうに笑う。

マイさんがアクセサリー作りを始めたのは高校生の時。当時、とても欲しいアクセサリーがあったが、高額で手に入れることができなかった。それでも欲しい!とお店に通う日々。何度も通っているうちに、ある時「これ作れるんじゃない?」と閃いたのだそう。どんな風にできているのか、その仕組みを研究し、見よう見まねで第一作目を作り上げた。初めての作品にして、ショップで見ていたものと変わらないくらいの出来映えだったという。

「ある日、自作のアクセサリーを付けて出かけた時に、あるショップの店員さんにどこのブランドのものかと聞かれたんです。自分で作ったことを話すとカフェをやっている知り合いの方を紹介してくれて。そこからカフェでの委託販売が始まりました。通っていた美容専門学校でも友人向けに販売したりとコツコツと営業していましたね」

転職先のセレクトショップでアクセの取り扱いを決めたが......

vol70_1.jpg美容専門学校卒業後は就職のため神戸へ。スタッフが店長とマイさんの2名という小さなサロンに就職する。美容師になってからもアクセサリーへの情熱は冷めなかった。
「就職の決め手となったのは、小さな店舗で融通が利くかな?と思ったから。レッスンよりも制作が優先、という美容師でした(笑)。店長にお願いし、お店にも作品を置かせてもらっていました」

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手作り感を出さないように制作していた時期もあったが、最近は手作りのぬくもりや素材の味わいを出していきたいと考えるように。写真の「message in a bottle」は、ボトルにメッセージカードとネックレスを入れたシリーズ。「I Love You」「Thank You」「Merry Christmas!」などが書かれた好きなカードが選べる。「ギフトとして想いを伝えてほしい」ーそんなアイディアから生まれた作品だ。

2年間の美容師生活を経て、『アクセサリーを置かせてもらえそう』と感じた神戸のセレクトショップに転職。「入社してすぐ、社長にアクセサリーをショップで取り扱ってほしいと直談判! 商品を社長に見せたところ、販売許可が下りて店頭に置けることになったんです。でも問題があって......。そのショップは2店舗展開していたのですが、双方の店長に取り扱いを渋られてしまって(笑)。悔しかったので、『じゃあ、私が売ります』と宣言し、自分が在籍する店舗で販売して初月に7万円を売上げました。結果を出したことを社長に報告したところ、続けるようにと言ってもらえたんです」

その経験が自信に繋がり、取り扱い店舗を少しずつ増やし、2005年にはブランドサイトを立ち上げた。サイト制作にあたり、マイさんが活用したのはミクシィだった。参加していたハンドメイドアクセサリーのコミュニティの中から気に入ったブログを見つけ、さっそくコンタクトをとって制作方法を教えてもらったという。現在はFacebookとTwitterを活用し、新作ができると商品を撮影しては掲載している。

家族と過す時間を大切にしたい。店舗を持つ夢に向けて歩みだす

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11/10~11/15に代々木上原の「Mary go round」で開催した「Pisica 期間限定展示販売会」のディスプレイ。「心」をテーマに、心を伝えるギフトとしてのアクセサリーを展示、販売した。ディスプレイ一つひとつに、マイさんワールドが感じられる。11月末から3ヶ月限定で、「Mary go round」の店頭で商品の購入が可能。気になる方は、ぜひ足を運んでみて! ●「Mary Go Round」のサイトはこちらから>>

販売員とアクセサリー制作・販売の仕事を並行してきたマイさん。パートナーができたのをきっかけに、2011年からは飼っている猫3匹と一緒に活動拠点を東京に移した。家族ができたことによって心境にも変化があった。

「これまでは自分のペースで動いてきたのですが、今は彼と猫たちと過す時間が優先! ベースは家族にあります。本当に価値観が変わってきましたね、家にいる時間が楽しいんですよ。家族を守り、いつも側にいたいと思う。それが叶うのでフリーランスという働き方は私には合っていると思います」

現在のマイさんの夢は、パートナーと一緒にお店を持つこと。自分の店を持つのはマイさんの子どもの頃からの夢だった。振り返れば、店を構えるにあたり、両親に納得してもらえる職業に就こうと美容師の道に進み、サービス内容はヘアケアからアクセサリーへ、そして、一人から二人の夢へと変化してきた。

「彼は飲食の仕事をしているので、カフェ兼ギャラリーを開き、そこで作品を展示して販売するというのが理想。203年後の実現に向けて動いているところです。『Pisica』の展開としては、音楽、写真、言葉など異ジャンルとのコラボ作品を作りたい。そして、展示販売会への出展や、商品を置いていただけるショップも増やしたいですね。DMを作り、電話でアポを入れて......と営業をかなり頑張っているのですが、なかなか厳しいな~というのが実情。それでもめげずにコツコツと取り組んでいきたいです」

マイさんのお仕事道具

ペンチはお父様からのプレゼント。「おそらく勤務先で買った、なんてことのない工業用のペンチたちですが、私のアクセサリーに関心がないと思っていた父が自分のために買ってくれたことが嬉しくて! それ以来、ずっと愛用しています。そんな父がPisica Art Catalogを見て『いいもの作ってるな』と、ぼそっと言ってくれた時は、涙が出るほど嬉しかったです」

ある一日のスケジュール

08:00 起床。掃除や洗濯など家事を行う
09:00 パートナーの出勤のお見送り
猫と遊んだり、仕事をしたりととくに時間を決めずに活動。食事は時間縛りではなく、お腹が空いたら摂ると、自分のペースで過ごす
19:00 パートナー帰宅。ふたりで夕飯作り
夜は家族との時間。お酒を飲みつつノンビリ過す。アクセの感想を聞くこともあるけれど、作業はしないそう
24:00 就寝

ピンチもこれがあればOK!私の最終兵器はコレ

パートナーと3匹の猫たちと一緒の生活。力丸(♀)とのツーショット写真。「昔は超・独立思考だったのですが、今は家族に依存しているなと思うこともありますが、家族と一緒の時間は最高に幸せです」

Q&A - 自分スタイルの働き方を実現するための5つの質問

今の仕事・ワーキングスタイルのメリット、デメリットは?
メリットは家族との時間を優先にできること。デメリットは収入面が不安定であること。私の場合、収入面で厳しくなったら割り切って他の仕事をしています。今は開店資金を貯めているので尚更ですね。
ON・OFFの切り替えはどうしていますか?
切り替えはないです、仕事は生活の一部になっていますから。だから気分が落ち込んでいる時はアクセサリーは作りません。思っている以上に心の状況が作品に出てしまうので、クオリティを維持するためにも気分のよい時に制作しています。
スキルアップのために行っていることはありますか?
自然でもアートでも何でもいいのですが、キレイなものを意識的に見るようにしています。感性は磨き続けないと衰えてしまうと思うから。発想法として取り入れているのは、散歩をする、自転車に乗る、美術館に行くことですね。
サービスの価格はどうのように決めていますか?
今はパートナーにジャッジしてもらっています。「コレ、いくらだったら買う?」「う0ん、○円!」みたいなやりとりなんですけど(笑)。「売りたい」より「見てほしい」という気持ちがあるので、絶対いくら売る、といった金額重視で仕事はしていないですね。
マイさんのような働き方を目指す方へのメッセージをお願いします!
自分の好きなモノ・コトが何かを知る。それが分からないと、仕事に没頭できる環境を作ることもできないからです。好きという気持ちを軸に直感的に動いているので「もっと考えてから行動すればよかったかも」と思うこともあります。でも、自分の選んだことだから!と納得できている。好きなものがあれば、何でもできると思いますよ。

大切な家族との時間が作品づくりの源に
夢は、3年後にカフェギャラリーを持つこと

須磨ますみ

Writer 須磨ますみ

前は編集・ライター、今は会社員+週末ライター。
各種インタビュー、仕事系、グルメ、ウエディングなどの編集・ライティング経験あり。

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