Vol.119 himeさん「アラフォーから韓国ブロガー、イラストレーター、講師、出版、ツアー企画など、韓国業界でマルチに活躍」

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Profile

himeさん

1970年東京生まれ。韓国ブロガー、イラストレーター。35歳で韓国へ語学留学、2006年に高麗大学語学堂を卒業。2009年、ブログ「アラフォーから韓国マニアの果てなき野望!」を開設し、月間50万PVを誇る大人気ブログに。本の出版、セミナー講師、ソウルツアー企画、新大久保さんぽ企画など、韓国業界でマルチに活動中。著書に、『イラストで覚える hime式 たのしい韓国語単語帳』(高橋書店)、『新大久保の年下王子と結婚しました』(小学館)などがある。また、イラストレーターとして、『Q&ADirry ハングルで3行日記』(アルク)の表紙デザインも担当している。

Blog:https://ameblo.jp/hime-himitsu/
instagram:@hime.kmania
twitter:@himekmania

本の出版、韓国語講座、ソウルや新大久保ツアー企画など、韓国をテーマに幅広く仕事を手がけているhimeさん。最新刊『イラストで覚える hime式 たのしい韓国語単語帳』(高橋書店)は、発売からわずか一ヶ月で3刷りに。また、himeさんが企画する講座やツアーは、募集開始後わずか数分でいっぱいになるなど、今や多くのファンに慕われているが、そのはじまりは、"リストラ"をきっかけにブログを開設したことだった。

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基本単語500個を、イラストとダジャレで綴る新感覚の単語帳。この本のためにゼロから単語を選び、イラストもすべて書き下ろした。発売するやたちまちベストセラーとなり、himeさんを代表する1冊に。表紙デザインも、himeさんが担当。

39歳でリストラ。およそ1年で月間50万PVの人気ブロガーに

システムエンジニアとして働いていたOL時代、韓国映画にハマったことをきっかけに、韓国語の勉強をはじめ、35歳で韓国へ語学留学。37歳で帰国し旅行会社へ再就職するも、39歳でリストラされてしまう。

「ブログは、もともとリストラの愚痴をぶつけるために開設したものでした。でも、一週間もすると書くことがなくなってしまい、テーマを韓国に変えたら、すぐにコメントがもらえるようになったんです。それで、まずはできることを全部やってみようとブログに力を入れ始めました」

▼ブログを育てるために、himeさんが意識したこと

①記事タイトルをキャッチーに
「クリックしてもらうには、記事タイトルを工夫することが大切です。でも、タイトルだけがキャッチーでもダメ。タイトルで煽りすぎて、記事で読者を騙すようなことにならないように心がけました」

②読者の行動パターンを想像し、記事をアップする時間を一定にする
「私は、韓国に興味のあるOLさんを読者として想定していたので、ちょうど彼女たちが通勤電車に乗っているであろう朝の時間帯にアップしていました。毎日同じ時間にアップするようにすると、読者も習慣になって、その時間に見に来てくれるようになります」

③最も優先すべきは上質な情報提供
「ブログを仕事にするというと、"アフィリエイト"がありますが、私はそれを目的にはしたくありませんでした。ですから、まずは"読者が欲しい情報をしっかりと出していく"ということを第一に、内容にはかなり力を入れて記事を作りました」

④ブログタイトルも重要
「私の場合は"アラフォー"という言葉が入っているので、読者が若すぎることもなく、同世代から少し上くらいの女性が見に来てくれるようになりました」

これらを心がけながら、1日1記事を丁寧に書き、コメントがつけばまた丁寧に返信していく。これを1年ほど続けた頃、ついに、アメブロの「語学ランキング」で1位を獲得。月間50万PVを叩き出す大人気ブログへと成長させた。

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2009年からhimeさんが運営する人気ブログ「アラフォーから韓国マニアの果てなき野望!」

ブログでしっかり報告することで、ひとつの仕事が次の仕事を生む

人気ブロガーになると、少しずつ仕事も舞い込むようになってきた。最初の仕事は、ブログを開設して1年半が過ぎた頃。セミナー講師の依頼だった。その様子をブログに書くと、それを見た人から次の依頼が舞い込んだ。また、はじめて出版の話が来たのも、このセミナーの様子がSNSで拡散されたことがきっかけだった。

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はじめての書籍は、2010年からブログに連載していた人気シリーズの書籍化『新大久保の年下王子と結婚しました』(小学館)。右端は、コリアン・フード・コラムニスト八田靖史さんとの共著『イラストでわかる はじめてのハングル』(高橋書店)。この本で描いたイラストの評判がよく、最新刊『イラストで覚える hime式 たのしい韓国語単語帳』(高橋書店)の出版が決まった

さらに、この頃himeさんが考えていたのが、自分でツアーや講座を企画し、自主開催することだ。

「例えば、新大久保の情報をブログに書いても、読者の中には、ひとりではうまく回れないという声があったんです。そこで、自分の友達を案内するように、読者のことも案内してあげられればと思い、ツアー企画"新大久保さんぽ"をスタートさせました。また、読者の多くが韓国語学習についての悩みを抱えていたことから、韓国人の夫とダブル講師の発音講座や、私の経験に基づいた勉強法についての講座を企画するようになりました」

読者の悩みに寄り添う企画は評判となり、新大久保さんぽの開催回数は、通算120回以上。昨年からは、大阪のコリアンタウンを案内する「鶴橋さんぽ」をスタートさせ、こちらも大好評だ。

時代の流れとともに、ツイッター、インスタグラムも開始

また、2015年からツイッター、2016年からはインスタグラムもスタート。現在、ツイッターは6,400人、インスタグラムは14,800人を超えるフォロワーを抱え、それぞれテーマを変えて使い分けている。

「ツイッター(@himekmania)は、韓国語学習者向け。インスタグラム(@hime.kmania)は、韓国旅行・ファッション限定。ブログは、イベント告知やレポートなど、しっかりと長文で伝えたい時に利用しています」

なかでも今好調なのが、インスタグラムだ。大好きなファッションアイテムの紹介をはじめたことで、韓国に興味がある人以外にも、ファン層が広がってきているという。

「基本的についたコメントには返事を書き、SNS上で人間関係を築くようにしています。また、アイテムの写真を載せる時は、『どこで買えるのか』『値段』などの情報をしっかりと書き、基本的には"読者も買える"アイテムしか紹介していません。」

とは言え、実際に韓国まで買いに行けない人もいるため、1年ほど前から、himeさんがまとめて韓国の問屋に注文し、日本のフォロワーへ販売もするようになった。すると、初回から大反響が起き、今ではこのインスタを通した物販の収入が、大きくなってきているという。

「私はこれまで、自分が手にして、本当にいいと感じたものしか紹介してきませんでした。それを理解してくださっている方々が、楽しみにしてくださっているのだと思います。きちんと読者との信頼関係が築けていれば、オンラインショップを持つ必要はないと感じています」

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himeさんのインスタグラム(@ hime.kmania)に掲載中の写真の一部

韓国業界のマルチプレーヤーに

39歳でリストラというまさかの逆境から、ブログを育てるところからスタートし、時代の流れや読者のニーズを読みながら、仕事の幅を広げてきたhimeさん。今後、どんな展望を抱いているのだろう。

「最近は、本の表紙デザインなど、イラストの仕事も増えてきています。今後は、イラストとファッションの仕事にも力を入れたいですね。あとはやっぱり、語学を勉強している方々の助けになるようなことをしていきたいです。話を聞いて、アドバイスすると、元気になったとか、前に進めるようになったと言ってもらえるのが嬉しくて。語学の勉強で悩んでいる人達の助けになるようなサロンも開ければと思っています」

■himeさんのお仕事道具を拝見!

201810_hime_06.jpghimeさん愛用の辞書(小学館『朝鮮語辞典』)。調べた単語に付箋を貼り、覚えにくいものには文字だけではなく、イラストも書いて記憶に残りやすくしている。韓国語上級レベルを保つため、今でもTOPIK(韓国語能力試験)を受け続け、6級をキープ中。付箋は現在進行形で増え続けており、使い込んだ辞書は、韓国語講座の際に持参すると、受講生から喜ばれるという。

Q&A - 自分スタイルの働き方を実現するための3つの質問

質問1 フリーランスの波はありますか?

韓国を題材にしていると、どうしても政治の絡みなどで、日本の韓国業界全体が下火になることがありますが、自分で講座やツアーを企画・開催することで、波を乗りこなしています。「仕事は自分で作るもの」というスタンスでいれば、できることはたくさんあると思います。

質問2 アンチにはどのように対応していますか?

基本的にはエゴサーチはしないようにしています。ただ、直接コメントが入ってしまった場合は、返事ができるレベルなのか、すぐに削除すべきなのかを判断します。アンチのコメントに落ち込んだら、はあちゅうさん、勝間和代さん、堀江貴文さんの本を読むと、『自分だけじゃないんだ』と思うことができ、気持ちが落ち着きます。

質問3 フリーランスに大切なことを3つ教えてください。

ひとつは、「慎重になりすぎず、ぱっと行動すること」。すべてがうまく行くわけではないですし、やってみてはじめてわかることもあります。まずは行動しないと、何もはじまりません。

2つめは、「ネガティブなことを言われても気にしないこと」。悩むことは非常にストレスになります。立ち直る力は訓練で身につけることができますから、何か言われても、自分の中でうまく消す力を身に着けることが大切です。

3つめは、「常に流行に敏感になり、勉強し続けること」。ひとつ成功しても、常に学び続けなければ、すぐに時代に取り残されてしまいます。時代に合わせて勉強し、自分を進化させていくことが大事だと思います。

ある1日のスケジュール

10:30

起床
メール確認、SNS発信

13:00
昼食
14:00

午後の仕事スタート。執筆・イラストなど

18:30
夕食準備。フリーランスの夫とともに、散歩がてら近所の商店街で調達することが多い。
19:30
夕食
21:30
夜の仕事スタート。執筆・イラストのほか、東大門の問屋とのやりとりは、夜の時間に行う。
3:00
就寝
釘宮 優子

Writer 釘宮 優子

広告制作会社でのコピーライター職を経て、ベンチャーキャピタル、金融専門研修会社など金融業界に約8年勤務した後、2016年よりフリーランスの編集者・ライターに。得意分野は「マネー」&フリーランスをはじめとする「働き方」関連。AFP(日本FP協会認定)。プライベートでは10歳年下の夫を持つことから、婚活業界にも興味津々。

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